Dr.片山の100均ロボット研究室
向かい合った人にも見えるし壺にも見える「ルビンの壺」をしゃべらせてみた
こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、100円ショップのグッズを使って面白いロボットを作ることをライフワークとしております。
さて今回は、いつもとちょっと趣向を変えまして、しゃべるロボットを作ってみました。モチーフは「ルビンの壺(つぼ)」です。
ルビンの壺とは、向かい合った2つの顔の間に壺の形が見えるという多義図形の名作です。作者は心理学者のエドガー・ルビンです。
今回は、顔の部分の製作過程を中心にご紹介します。壺を回転させるやぐら部分は簡単に作れるので、過去の記事を参照してください。
Dr.片山の100均ロボット研究室 観賞用に最適な飾って楽しむ動くカニのオブジェ|fabcross |
しゃべるルビンの壺の製作過程
それでは、製作過程をご紹介します。まずは材料から。
- 毛玉取り器(中の刃は取り外す) 1個
- 竹の箸 7本
- ストロー 1本
- 厚紙 適量
- 色画用紙 1枚
- コピー用紙 適量
- タイルマット 適量
- 輪ゴム 2本
初めにiPad miniで横顔の動画を撮影します。「すごいね!(ニヤリ)」と言っています。
撮影した動画を、動画編集アプリでコマ送りしながら静止画に保存します。16コマでは少な過ぎ、64枚は多すぎて手間がかかるので、間をとって32枚にしました。撮影した顔写真はPowerPointに貼り付けて、鼻から顎までの輪郭を丁寧にトレースします。
顔の輪郭線を印刷してハサミで切り抜きます。
色画用紙を適当な幅に切り、蛇腹折りにします。32枚貼れるよう、それぞれ32回ずつ山折り/谷折りを繰り返します。
蛇腹折りした色画用紙が筒状になるように、のりで貼り合わせます。
顔の輪郭線を、折った側面に沿って1枚ずつ色画用紙に貼り付けます。
中心に竹箸を通したら壺の完成です。なお、背景とのコントラストを付けるため、後から壺全体を黒い絵の具で塗りました。
竹箸、ストロー、厚紙、タイルマットと輪ゴムで作ったやぐらに壺を取り付けます。
やぐらの上に毛玉取り器を載せれば、装置の完成です。
PowerPointを使って、背景となる鼻から上の絵を描いて印刷します。モノトーンとカラーの2パターンを作りました。
背景の前に装置を置き、毛玉取り器のスイッチを入れれば、ルビンの壺がしゃべっているように見えます。
可能性を秘めたルビンの壺。あなたはどう作る?
このしゃべるルビンの壺は、鼻から下だけが動くので、2人が向かい合ってしゃべっているように見えます。今回は左が男性、右が女性をイメージしました。また、左右の人物を認識しやすいよう、左右の背景色を変えています。
等倍で動画を再生すると、あまりしゃべっているように見えないかもしれませんが、0.2倍速で再生すると「すごいね!(ニヤリ)」と言っているように見えるはずです。
しゃべるルビンの壺、実際に作ってみると壺の軸がぶれやすく、背景と位置を合わせるのに苦労しました。ホンモノの壺を作るのは、私には無理かもしれません……。
なお、壺を黒く塗りつぶしたことで、顔がより際立ったと思います。
今回は一言しかしゃべらせることができませんでしたが、壺の径を大きくすることで、理論的には長い文章をしゃべらせることが可能です。ただし、2人の距離は離れてしまいます(笑)。
また、しゃべる壺と言っていますが、実際には声は出ていません。これは再チャレンジ案件かもしれません。
この動画をSNSにアップしたところ、レコードのように溝を掘って音を出せば面白そうというご意見をいただきました。これは検討の価値ありですね。
簡単な方法としては、この壺をレコードプレーヤーの上に置くことで、歌っているように見えるかもしれません。口の動きはでたらめになってしまいますが(ついでに言えば、毛玉取り器も関係なくなってしまいますが)
もし腕に自信のある方は、ご自分でレコード1周分だけの任意のセリフをカッティングすれば、向かい合う二人に無限に掛け合いをさせることも可能だと思います。
今回の作品はまだまだ改良の余地が多々あります。その分、大きな可能性を秘めています。いいアイデアがあれば、ぜひこの記事を参考にあなただけの「しゃべるルビンの壺」を作ってみてください。
第28回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!
企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀