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頭の悪いメカ by 藤原麻里菜

焼鳥を串からスムーズに外せるけれど職人の苦悩が表示されるマシーン

飲み会の店で選ばれがちな焼鳥屋さん。
私も焼鳥は好きで、中でもやはり鳥貴族には並外れた愛着を持っており、街で看板を見ると「あっ鳥貴族だ」と口に出しちゃうくらいには好きです。

でも、一つどうにかならないかな……と思うことがあります。それは、みんなで取り分けられるように串から外すという社会のルール。

飲み会で焼鳥の盛り合わせを注文した際に、串を一本まるまる独り占めしていると心証が悪いような気がします。「協調性がない」「気配りできない人」「サイコパスだ」などと思われ、友達は離れ、出世もできず、人生がめちゃくちゃになってしまいそうです。それを避けるためにも、泣く泣く串から焼鳥を外しています。

それに、私は焼鳥を串から外すのが大の苦手なのです。固すぎてびくともしなかったり、力をいれすぎて焼鳥が飛んで行ってしまったり。どうしても、まごついてしまうのです。焼鳥を素早く串から外すことが社会人としての力を表すこの世の中で、これはまずい。なので、焼鳥を素早く串から外せるマシーンを作ろうと思いました。

……しかし、「串打ち三年、焼き一生」という重い言葉もある通り、そもそも修行を経た熟練の技で刺した焼鳥を串から外す行為は、かなり最悪なことではないでしょうか。

社会人の勝手な忖度で、技術が台無しになってしまう。でも、串を独り占めするのは心証が悪い……。焼鳥屋さんのみんな、ごめんなさい。私は社会のダメな部分に気付きながらも、見て見ぬふりをするそんな人間です。この胸に抱いた罪悪感を忘れないためにも、このマシーンに「焼鳥屋さんの苦労をまとめた動画」を再生する機能を付けようと思いました。

「焼鳥を綺麗に外せるけど職人の苦労が流れるマシーン」を作る

設計図を書きました。串から外すという部分は、箱に串だけ通せる穴を開けることで解決しました。簡単。動画を再生する部分は、「Raspberry Pi(通称/ラズパイ)」という小型PCで作ります。
ラズパイって何なの? 小型PC? という方はぜひ、以前fabcrossで書いたラズパイをアメフトに例えて分かりやすく説明する記事を読んでください。

プラスチックケースに超音波カッターで穴を開けました。これで焼鳥をスムーズに外すことができます。よかったですね。所要時間3分。
こんな簡単に私の問題が解決するとは思わなかったのですが、動画のほうに力を入れたいと思います。

ラズパイをセットアップしていきます。
今回は、「Raspberry Pi 3 Model B」に「Raspbian」というOSをインストールしたものを使います。
液晶は、オソヨーのHDMI接続の3.5インチLCDディスプレイです。小さいけれど画質も良くて、なにより値段が3000円くらいのお手頃価格なのが最高です。

これに別途制作した「焼鳥屋の苦労」をまとめた動画を入れて、リピート再生します。普通のパソコンであれば、動画プレイヤーを起動して再生すればいいだけですが、ラズパイはコマンドを打って指示しないといけません。めんどいですね。

このブログ記事を参考にして、映像がリピートで再生できるようにしました。
諸事情で大きい画面に繋ぐことができなかったので、3.5インチでコマンドを書き込むという目に悪いことをしました。視力が10くらい下がった気がする。

内容としては、「電源を入れたときに指定した動画がリピート再生される」ということをラズパイにお願いする感じです。ちょっと私が陥った部分もあったので、詳しく書きます。ラズパイなどやらない人にとっては、マジで意味不明な内容だと思うのですが、それでも書きます。なぜなら、書きたいからです。

「/etc/xdg/lxsession/LXDE-pi/autostart 」というファイルに

@omxplayer –refresh –loop –o both 再生したい動画(デスクトップにある01.mp4を再生したい場合は、/Desktop/01.mp4)

の文を追記するだけで、起動時に指定した動画が再生されます。簡単〜。
「autostart」というのは、なんでもラズパイが起動したときに実行されるファイルらしいです。なので、会うたびに好きって言われたいタイプの人は、ここにそういう旨を書いておけば大丈夫です。なにが大丈夫なんだろう。

これは私がハマったことなのですが、autstartファイルを開いて普通に書き込みしようとすると書き込み禁止エラーが出てしまい3時間くらい泣いていました。解決策を調べたところ、ターミナルを起動して

$ nano ~/.config/lxsession/LXDE-pi/autostart

というコマンドを入力しエンターをすると画面が切り替わるので

@omxplayer –refresh –loop –o both 再生したい動画

のコマンドを入力→エンター。
Ctrl+Oで保存してエンター。その後、Ctrl+Xで編集画面が終了します。これで、すんなりOKでした。私の3時間……。でも、焼鳥屋さんは3年も串打ちしているのだから、このくらいの苦労はどうってことないです。

そして、上記のブログにあるように「raspi-config」からGUIが起動する設定にすれば完了です。

GUIとかコマンドとか意味がよく分かっていませんが、とりあえずラズパイを再起動したら焼鳥屋さんの苦労ムービーがリピート再生されたので大丈夫です。

ソフトの部分ができたので、次は箱を作っていきます。ラズパイをこの箱に埋め込みます。もう、ここからは適当にやっていきます。

ラズパイが動かないように、クッションなどを使って固定しました。適当さが滲みでてますね。

「焼鳥を綺麗に外せるけど職人の苦労が流れるマシーン」完成

完成しました。
この感じ、無印良品とかで売ってそうですね。

スイッチをいれると映像デバイスが起動します。

衛生面が心配すぎたので、とりあえずラップを中に敷きました。

使ってみよう

早速、使ってみたいとおもいます。焼鳥屋さんでやると確実に怒られるので、コンビニで焼鳥を購入しました。よし、このマシーンで社会人力を上げていくぞ!

まず、中に焼鳥をいれます。

蓋をしめます。

焼鳥屋さんの苦労をしっかりと見て、罪の意識を感じます。

一応、鳥(ハト)のインサートもあります。

なんか辛い気持ちになってきました。なんでこんなもの作ったんだろう。

罪悪感いっぱいになりながら、引き抜きます。

ものすごくスムーズに引き抜けて気持ちがいいです。どんどん串から外したくなる気持ち良さがここにある。箱に穴開けただけなのに。これは、飲み会で重宝されるやつだ。

しかし、職人(無料フリー素材)の真剣な目を見ると、社会人力なんて幻に振り回されている自分が最低に見えてきました。

しかし、ものすごく綺麗に抜くことができます。基板が丸出しなので、はんだ風味で美味しいと思います。

おわりに

職人(無料フリー素材、本当は寿司職人の写真だったがトリミングして焼鳥職人に見せた)の意向を汲んで、こんな最悪な機械は封印することにします。やっぱり串のまま食べるのが焼鳥ですね。

ちなみに今は技術が進歩し、こんな串打ちマシーンがあるそうです。でも、このマシーンを作ったエンジニアの苦労もあるので、やはり焼鳥は串から外さずに食べます。

もう私が作った最悪な機械はいらないので、社会人力を上げたい方に10万円で差し上げます。新社会人のみなさま、いかがでしょうか。

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