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「ハクト」インタビュー

「ハクト」インタビュー(後編)秋葉原に売っている部品で宇宙へ行く——設計の基本方針です

“宇宙開発ビッグバン”がやってきたと思っています

本業の合間に訪れ、開発に没頭する“元宇宙少年たち”。かつて宇宙に憧れ、エンジニアを目指したメンバーも多いだけに、その情熱やモチベーションはハンパではない。

——このプロジェクトはどのような組織体制で運営され、どんな人たちが携わっているのでしょうか? 宇宙開発における今後の展開も合わせてお聞かせください

現在スタッフは約30~40名で、開発・プロモーション・運営という3チームで構成されています。どんな人材が携わっているかというと、例えば10名ほどいる開発チームにはメーカーのエンジニアもいれば、現役の大学院生、製造業の経営者もいます。機構系・電子系・ソフト系など専門分野も、年齢も、キャリアもさまざまですね。

共通点としては、宇宙開発に携わった経験のない人たちです。携わりたくても宇宙開発エンジニアになれるのは一握りですから、みなさん喜びを感じています。国のプロジェクトとは開発の進め方も違うので、あえて慣れていない人に声を掛けてきました。

ただし、全く宇宙開発の経験のないエンジニアだけでは作れないので、宇宙開発経験者もアドバイザーなどの形で参加してもらっています。これまでは、プロトタイプの開発ということで多くの人がボランティアで参加し、現場はサークル活動のような雰囲気ですね。ワクワクするモチベーションを持っている人たちばかりが集まっていますから。このマンションの一室が活動拠点で、毎週土曜日にみんなで集まって情報を共有、あとは各自で都合のいいときに開発を進めている状況です。

ただ、これからはエンジニアリングモデルの開発に入っていくので、常勤で働けるエンジニアを雇用して体制を強化していきたいと考えています。スキルも大事ですが、次の世の中を創りたいという強い意志やベンチャースピリッツを持つ人にぜひ参加してもらいたいですね。

月面に似た環境で実験を繰り返しているローバー。これまでに蓄えたデータを反映させ、砂丘など月面に近い環境などに持ち込んで今後テストを重ねていく。

 大学の実験施設などを借りて宇宙を想定したテストを繰り返し、性能を確認していく段階に入りますが、課題も残されています。地上から遠隔操作するためのインターフェイスづくりもその一つで、状況が一瞬で認識できるコントロール画面の表示方法や、人間が感覚的に操作できるコマンドの開発にも取り組んでいく予定です。そして、最終的にはこのプロジェクトで構築したものをオープンソース化し、宇宙開発に誰もが参加できるフィールドを作りたいと考えています。

資金、技術、人材、環境……。いろいろな観点から話をしてきましたが、宇宙開発のイメージが少しは変わりましたか? 参加へのハードルがかなり低くなり、個人的には“宇宙開発ビッグバン”がやってきたと思っています。主導権を握ってきたアメリカが市場を開放し、月面への輸送ビジネスや宇宙旅行を手掛ける企業が現れ、ロケットの打ち上げ費も以前の3分の1に下がりつつあります。結果として、他の業界から企業や投資家も参入して市場が活性化するなど、まさに追い風です。我々も今回のプロジェクトの先を見て、どうやって宇宙開発を発展させていくか、ビジネスモデルを構築しようと模索しているところです。

エンジニア、惑星科学者、Webデザイナー、プロモーター、弁護士など、参加スタッフのバックグラウンドは多彩だ。今までの宇宙産業にないオープンな宇宙開発を実行している。

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