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池内啓人インタビュー

空想を具現化するメディアアーティスト・池内啓人——デスクトップを秘密基地に見立て、プラモデルで「いつか見た未来」を再現

1990年代に見た未来の姿

メイド姿の女性が近未来型のヘッドフォンをつけて登場。白と黒のツートンカラーがメイド服にマッチしている。アニメから飛び出した「メカ娘」だ。

「『To Heart』というアニメに『マルチ』というメイドロボが登場します。指令を受けるためのかっこいいヘッドセットを装着していました。小学生の時に目にしたのですが、大人になったらきっとこういうロボットがいるだろうと思っていました。でも、10年たっても現れない。だったら、自分で作ってみようと。これも空想具現化の一つですね」

じつは各ヘッドフォンのパーツは「R・ギャギャ」という同じ種類のガンプラを使っている。

「組み合わせや色を変えながら、どのパーツをどこにどう使ったらいいか、製作中はずっと考えていました。最終的には6種類作りました」

21世紀、メイドロボこそ生まれていないが、テクノロジーは向上した。

「今のヘッドフォンにはBluetooth機能がついています。1990年代のTo Heartの世界では、メイドロボはインターネットに接続して衛星通信で情報を得ることができるという設定でした。Bluetoothヘッドフォンならスマホと接続すれば同じことができる。ハードウェア面では技術はもう追いついている。アニメを放送していた当時より、技術は格段に進んでいるのに、デザインは別の方向に進歩した。そこを模型で補おうという試みです」 

模型のパーツによって新たにデザインされたウェアラブルデバイス。 模型のパーツによって新たにデザインされたウェアラブルデバイス。

メカ娘へのあこがれがコラボを生んだ

ヘッドフォンに限らずウェラブルデバイスの発達はめざましい。テクノロジーの進歩に刺激され、池内さんのメカ娘「マルチ」は新たなコラボ作品を生み出した。

「Maker Faire Tokyoでスケルトニクスさんと知り合いました。彼らも金属パイプやベルトなど既製品を材料にロボットを作るグループなので、有りモノを使う点は共通しています。そこで、一緒に何かやろうということで作ったのが『MPS-15sk』です。ヘッドフォンやビデオカメラ付きルーペを装着したメイドが、外骨格型のロボットスーツをまとい、マルチタスクに仕事をこなすというイメージです。メイドロボという意味で、システム全体を『マルチ』と名付けました。空想がここにも生きています」 

スケルトニクスとコラボレーションした「MPS-15sk」(撮影:萩原楽太郎) スケルトニクスとコラボレーションした「MPS-15sk」(撮影:萩原楽太郎)

このプロジェクトで新たな創作のヒントを得た。

「ジオラマは、48分の1なり、35分の1なのですが、MPS-15skは1分の1、つまりリアルスケールの世界です。挟まれれば骨折するような本当に危ない箇所に『Caution』シールが貼ってあったり、本物のビスが打ってあったりします。ジオラマの演出上のシールやビスに慣れた目からすると、非常に新鮮です。リアルスケールゆえの魅力ですね。今後、1分の1スケールのものも作ってみたいと思います」

メカ娘「マルチ」をイメージしたヘッドフォン。メイドの衣装とマッチしている。 メカ娘「マルチ」をイメージしたヘッドフォン。メイドの衣装とマッチしている。
模型のパーツを使って、イヤーホンを改造。 模型のパーツを使って、イヤーホンを改造。

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