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あの名作の舞台裏にいたMaker

「志村!うしろ!」の後ろにいたデザイナー 山田満郎の「全員集合」舞台デザイン

1969年から1985年までTBS系列で放送していたバラエティー番組「8時だョ!全員集合」と言えばリアルタイムで見ていた人も少なくないだろう。
家が崩れる、本物の車が飛ぶ、岩が落ちてくるなど、奇想天外な仕掛けを駆使したコントは、当時公開生放送で行われ、最高視聴率50%を記録するなど、日本中のお茶の間を沸かせた。

その舞台セットのデザインを担当した山田満郎さん(1943 - 2016)による当時の資料を公開する展示会が、2017年2月21日から24日まで調布市文化会館たづくりで開催された。
東京郊外の会場で平日4日間の開催にも関わらず、北海道から九州まで延べ2000人を超える来場者を記録した。何が多くの人の心を引きつけたのか。会場で展示された当時の資料と、関係者から話を伺った。

山田満郎
1943年生まれ、武蔵野美術大学を卒業後、TBSに入社。1969年に放送開始した「全員集合」の舞台デザインに放送初回から765回まで約15年間携わる。TBS退職後は東放学園専門学校で後進の指導にあたった。2016年6月に逝去。

26歳から41歳という職業人としては最も充実した時期を、山田さんは文字通り「全員集合」にささげた。

毎週木曜日にドリフターズ、プロデューサー、担当ディレクターや構成作家、美術スタッフらが集まり、翌週放送分の打ち合わせが始まる。
打ち合わせで決まった内容に沿って日曜日に舞台セットのラフな図面を描き、月曜日にはディレクターとの打ち合わせ、火曜日には舞台セットのパーツごとの図面を描き、それを基に水曜日・木曜日にセットを制作する。
放送前日の金曜日には舞台セットが会場に設営され、土曜日夜に生放送を迎える。
このサイクルを15年に渡って毎週続けた。

コントの最後で巨大な足が落ちてくるセットの図面。全員集合のコントは、緻密に計算された舞台セットと入念なテストによって実現された コントの最後で巨大な足が落ちてくるセットの図面。全員集合のコントは、緻密に計算された舞台セットと入念なテストによって実現された

プロデューサーやドリフターズからの無理難題を拒むことなく、多忙を極める進行の中で視聴者を飽きさせない舞台セットを作り続けた。PCも無ければ、インターネットも携帯電話もない時代、全て作業はアナログの世界だ。

同時期にTBSでドラマ番組の美術に携わっていた石田道昭さんは、一度だけ山田さんが体調を崩した週に舞台セットを手掛けた。
常に時間が無い中で新しい要素を盛り込もうとする現場、絶対に失敗が許されない生放送の会場。ドラマの現場には無い緊張感は、30年以上たった今でも色濃く記憶に残っている。

「けが人を出しちゃいけないから200%大丈夫と言えるまで、何度も何度もテストを繰り返すのは当たり前。命を懸けてやるつもりじゃないと、大変な事故を招くかもしれないという緊張感があった」と語る石田道昭さん。石田さん自身も1970年代から2000年代にかけてTBSドラマの美術セットに数多く携わった。 「けが人を出しちゃいけないから200%大丈夫と言えるまで、何度も何度もテストを繰り返すのは当たり前。命を懸けてやるつもりじゃないと、大変な事故を招くかもしれないという緊張感があった」と語る石田道昭さん。石田さん自身も1970年代から2000年代にかけてTBSドラマの美術セットに数多く携わった。

当時、人気だったコント集団として頭角を現していたドリフターズに、仕掛けというギミックを加えることで、それまでにないエンターテインメントが生まれた。その仕掛けの最高傑作の一つが「ドリフの盗賊団・不思議なピンチハウス」だ。

「ドリフの盗賊団・不思議なピンチハウス」(1980年 千葉・市原市民会館) 「ドリフの盗賊団・不思議なピンチハウス」(1980年 千葉・市原市民会館)

ステージ中央にいる志村けんの指揮にあわせて、階段や暖炉など部屋の至るところから顔が現れ、当時のヒット曲を歌う仕掛けは全て人力で操作。楽譜が読める条件で集まった50人が演奏に合わせて人力で動かした。

このセットが評価され、その年の最も優秀な舞台美術に贈られる伊藤熹朔賞をバラエティー番組として初めて受賞した。

図面には台本にあわせた細かい指示が書き込まれている。 図面には台本にあわせた細かい指示が書き込まれている。
雑誌に寄稿するために山田さんが描いた「不思議なピンチハウス」のセットの解説 雑誌に寄稿するために山田さんが描いた「不思議なピンチハウス」のセットの解説

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