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年末特集2017

日本の製造業とハードウェアベンチャー、双方の強みを生かした協業を考える【年末特集】

製造業向けB2Bスタートアップの登場

——こちらは今後を予想する図ですが、4つ目のグループが加えられています。

北:これは2018年以降、Makersやハードウェアスタートアップにどのような動きが起こるのかを予想したものです。第4のグループとして、製造業向けB2Bスタートアップが大きなトレンドになると考えています。

分野としてはファクトリーオートメーションの領域が中心になりますが、これまでは大手システムインテグレーターなどがIoT技術を使った生産性改善を担ってきました。第4次産業革命、オープンイノベーションといった流れの中で、大手製造業からも「ベンチャーと一緒にやったほうが斬新で面白いことができるのでは?」という考えも出るようになってきました。こうした製造業のニーズを感じ取ったベンチャーが、今後プレイヤーとして多く登場してくるとみています。

——製造業とスタートアップの連携ということでしょうか?

北:はい、製造業とベンチャーの連携が加速するとみています。ただ、関心をもって取り組み始めた大企業もいますが、なかなか成果は見えていません。うまく行かずに物別れしてしまった案件や、大手が既存事業と関係ないところでベンチャーと組んでしまったため、あまり良い成果が出せなかったような案件も耳にしています。

製造業とベンチャーが組むことの難しさ

——B2Bスタートアップを下支えする動きはありますか? スタートアップの視点では、製造業の現場が分からないとニーズも見つけられないように思います。

北:海外では、大企業がインキュベーション施設を作ってスタートアップを支援し、オープンイノベーションを進めていくような流れがありますが、日本ではあまり見られません。この原因ですが、特に日本の製造業には自社システムを競争力や強みとする考えが強く、開発したシステムを他社にも水平展開することを許さない風潮があるためかと考えられます。これがベンチャー側のビジネス拡大を阻害する状況を生んでいるため、ここは変えていく必要があると思っています。

——そういう状況を変えるための支援というのは考えられるのでしょうか?

北:基本的には企業間で解決すべきことなので、行政が関わるべきかどうかは難しいですね。大企業側が変わるべきなのでしょうが、例えばテクノロジー系ベンチャーキャピタルが調整弁として機能するようなことも期待できるのではと考えています。ただ、ニーズがあることは見えていますし、海外ではすでに多くのベンチャーが目を付けています。日本のベンチャー側も自社の強みを生かした商品化提案など、まだ足りていないところもあるのでは、とも感じています。

日本のものづくりの強みを生かし、日本でしか作れないものを

——グローバルで見て、日本のスタートアップや支援者に求めること、課題に感じること、逆に日本がアドバンテージを持っていることなど、どのようにお考えですか?

北:私はこれまで製造業の産業政策にどっぷりつかってきた人間なので、「製造業びいき」なところがあるのですが、やはりスタートアップは、日本の製造業の資源を上手く使っていくことが重要だと考えます。

1つは、製品を開発・試作・量産するうえで製造業と連携し、日本でしか作れないものを作っていく、という方向性です。例えば、中国などで比較的簡単に作れるような製品だと、ベンチャー側も世界中のスタートアップが競合になってくるので、結局は難しい戦いになる。そうではなくて、例えば人命に関わるもの、複雑なもの、高い信頼性が必要なものなど、日本の製造業が得意とする分野のプロダクトをスタートアップが作っていく。こうすることで、日本起点でやっているからこその強みが出せると思っています。

もう1つ重要なことは、「製造業をスタートアップの顧客、マーケットとして捉える」という視点を持つことだと思います。日本の製造業は、第4次産業革命への対応、スマート工場の実現に向けて大きな転換点を迎えています。製造プロセスを革新するような技術や製品、サービスに関しては、どの企業も喉から手が出るほど欲しいという状況です。こうしたニーズをスタートアップが捉えて、事業化し、さらにそれを横展開して世界市場を狙いにいく。こうした動きが活発化していってほしいと思っています。

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