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ロビットインタビュー

量産未経験から国内で3万台出荷——めざましカーテン「mornin’」はどうチャレンジしてきたのか

国内の町工場で量産

——自社のブログで使い方の説明を小まめに載せていますよね。

高橋:ご家庭によっては環境が異なってうまく動かないといった声もあるので、いきなり返品扱いにならないように、Robit blogで製品の使い方やトラブルシューティングを紹介しています。情報を参考にうまく動かしてもらえたら嬉しいです。初めて発表した製品ですし、一度体験をしてもらえると、手放せなくなるくらいの製品だと自分たちも強く思っています。一回でもいいから目覚めるときに使ってみてほしいですね。

——カーテンレール1つにつき、mornin’は2台必要になりますか。

平野:実は購入データを見ると、購入は一人1台が多く、2台購入してくれている方は3分の1程度です。1台だけ使う場合は、両開きカーテンの端に固定された部分を外してそこにmornin’を取り付け、片方から2枚のカーテンを一度に開けます。太陽の光が入りさえすればいいという意見もあり、両開きカーテンの片方だけに取り付けて、もう片方は手で開けるような使い方も多いようです。

——専用アプリのチュートリアルも分かりやすいですね。

平野:専用アプリのチュートリアルにも気を使いました。カーテンレールにこの製品をどう取り付けるのか、見た目からイメージするのが難しいかもしれませんし、製品のボタンも一つにまとめていて、コスト的なメリットはあるんですけど、使いやすさに影響が出てしまいます。使い方や取り付け方法の説明は文章とイラストで分かりやすくしました。検証するときも、製品を知らない人を何人も集めてチュートリアルを見てもらいながら、どうやって使うのかそばでチェックして、フィードバックをもらいながら改善していきました。

たくさんのお客様に使ってもらえるように製品にまつわる情報を紹介していると語る高橋氏。 たくさんのお客様に使ってもらえるように製品にまつわる情報を紹介していると語る高橋氏。

——国内の町工場で量産していますが、海外の工場は考えなかったんですか。

高橋:海外も最初は考えました。一般的に海外の工場にお願いすると、コミュニケーションコストが掛かるという話もありますが、国内を選んだ理由は、平野が町工場に足を運んでその場で調整したりできるのが良かったからです。

平野:国内の町工場に相談して頼んでいなかったら、おそらくまだ製品ができていなかったと思います。そのくらい町工場の人たちに助けてもらいました。初めてのプロダクトだったということもあるし、量産について右も左も分からない。設計図を作ってみたものの、本当にこれで良いのか不安もありました。製造の常識として仕様がしっかり固まっていないものは工場側もお願いされても作れないと思うんですけど、mornin’の製造時に協力してくださった方々は「それだったらこっちのほうがいいよ」と、一緒にものづくりに参加して、アドバイスもしてくれました。 町工場には技術伝承したいと考えている方も多く、自分たちのように教えてもらいたいと思っていた気持ちがマッチした部分もあったと思います。これは日本じゃないと生まれなかったのかもしれません。

町工場と一緒にものづくりができたことで、製品を早く発売することができたと語る平野氏。 町工場と一緒にものづくりができたことで、製品を早く発売することができたと語る平野氏。

——豊田市のオープンイノベーション推進事業に参加していますよね。

平野:町工場に量産をお願いして仲良くなって話しているうちに、どこの町工場も同じような悩みや現場の課題を持っていることが分かったんです。自分たちの技術で協力すれば、その課題を解決できるんじゃないかなと思って参加し、「工場用ミシンのIoT化プロジェクト」と「機械学習を用いた自動外観検査装置の開発・検証プロジェクト」の2件のプロジェクトが採択されました。

高橋:「この作業を効率したい」「人手を減らしたい」という人手不足やコスト削減にまつわる課題の声が多かったですね。参加しようと思ったのは、日本の製造業を助けたいという気持ちよりも、身近な人たちを助けたいという気持ちです。今では町工場の人たちからも応援してもらっていて嬉しいです。

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