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失敗を乗り越えて夢を追い続ける——新体制で未来志向のエンターテインメントを目指すスケルトニクス

エンターテインメント分野での収益化

イベント会場では体験搭乗が人気を集めていた。 イベント会場では体験搭乗が人気を集めていた。

——スケルトニクスは、ライブパフォーマンス分野に特化したスーツとして、開発を続けていくという流れでしょうか?

阿嘉:ライブパフォーマンスやエンターテインメントという方向性は、当初から変わっていませんが、会社として規模の拡大や事業展開を考えて動いているところに違いがあります。株式会社としての営利を出さなければならない部分を担っているのが、エンターテインメント市場でのスケルトニクスの活用です。もう一方で、エグゾネクスの開発は終わりましたが、パワードスーツの研究は続けています。具体的な枠組みはまだありませんが。

——パワードスーツをエンターテインメント以外の用途で使う場合の障害はありますか?

阿嘉:私は、特定の社会的な課題をパワードスーツで解決すべきという思い込み自体が、課題解決の妨げになっているのではないかと感じています。課題解決のためには、もっとストレートなアプローチがあると思いますが、救護や災害救助や流通といった現場にパワードスーツを使わせたいという前提があるように思います。

パワードスーツの技術的な課題と社会の期待

阿嘉:一般の人は、パワードスーツを使えば何でもできる、欠点もないと思ってしまう。ですが、実際には装着脱着に時間がかかったり、思うように動かせなかったり、といった制限があります。高い期待に応えられるだけの技術がまだないということもあります。

本当はもっと軽くてもっと高出力なアクチュエーターが欲しいですが、今入手できる最高レベルのモーターでも、それ程ではありません。これは装着型でもヒューマノイド型でも同じです。例えばBoston Dynamicsの二足歩行ロボット「Atlas」も、運動性能が話題になっていますが、人間だったら訓練された子どもでもできるレベルです。産業用の据え付け型でない歩行型ロボットでは、出力重量比がまだまだ足りません。これが現状、人を超えた運動性能を持つロボットをつくりたいと願うロボット研究者の前に立ちはだかっている壁だと思います。

——では、動力を使わないスケルトニクスはいかがでしょうか。稼働時間が長くなるよう、負荷分散ができるよう、工夫されてきたと伺っています。

阿嘉:スケルトニクスは、1号機と2号機以降では完全に方向性が違います。1号機はアイデアを検証するプロトタイプでしたが、2号機以降は商用化を前提として運動性能の改善にかじを切ったマシンです。装着脱着のスピードや搭乗時間の延長、本体以外にも周辺機材とか、パッケージも洗練させています。

第5世代機は、操縦者の負担を減らすような改良が加えられている。 第5世代機は、操縦者の負担を減らすような改良が加えられている。

阿嘉:新しい機能として、上半身と下半身が骨格で接続されています。1号機では上半身と下半身は完全に分離されていて、上半身の負荷がすべて操縦者の腰にかかってしまいました。第5世代では、直立して腰が伸びた姿勢であれば、上半身の重量を骨格が支えてくれるようになっています。長時間直立の姿勢を取っても身体への負担が減り、例えば待機させられているような状態でも、体力の消耗を防ぐことができます。

スケルトニクス第5世代機。外装はスクエアエニックスとのコラボデザイン仕様だ。 スケルトニクス第5世代機。外装はスクエアエニックスとのコラボデザイン仕様だ。

紅白歌合戦でのライブパフォーマンス

——2014年の「第65回紅白歌合戦」の氷川きよしさんのステージで、ライブパフォーマンスをされました。国内最高峰の舞台からのオファーだと思いますが、大変な挑戦ではないでしょうか。

阿嘉:ものづくりとテレビではかなり文化が違うので、大変でした。私たちは、安全第一、二重三重にセーフティーを設けて絶対に無理はしないのですが、それに対して多少の無理はしても舞台を華やかにするようなところがあって。できること、できないことで、意見がぶつかったりしました。

——紅白歌合戦という大舞台に出たことで、反響はありましたか?

阿嘉:はい、多くの方に観ていただいたので、直接間接に多くの反響をいただきました。

新たなメンバーを迎え、スケルトニクスの開発を続けていく。 新たなメンバーを迎え、スケルトニクスの開発を続けていく。

新体制でのチャレンジ

——新体制になり、新しい仲間も増えたようですね。

阿嘉:去年末にサイバーセキュリティ関連のココンから出資を受けています。以前は、作るのも動かすのも、窓口も運営も全部僕がやっていて、僕に依存している会社の業務が多すぎました。それで、営業マーケティングや専属パイロット、現場での指揮統括マネジャーとか、徐々に体制を整えてきました。

——異業種といえるココンからの出資を受けられたのは、どのような経緯からですか?

阿嘉:ココン代表の倉富さん(代表取締役社長 倉富佑也氏)に興味を持ってもらったことがきっかけです。サイバーセキュリティを中心としてやっていますが、グループ企業としてスケルトニクス以外にもいろいろな会社があります。スケルトニクスは、ロボット分野での研究開発を中心に進めていく予定です。

外骨格スーツによるエクストリームスポーツを目指して

——スケルトニクスの将来的な目標を教えてください。

阿嘉:僕自身は、世界最高の究極の外骨格を作ることを目指しています。スケルトニクスは無動力というコンセプトのもとで、マネタイズを前提にやっていますが、それとは別にフラグシップモデルのハード技術の研究開発と企画、製造に取り組んでいます。

わかりやすく言うと、出力重量比、運動性能が極めて高い装着型ロボットの開発になります。以前から考えていたことですが、一般の人に分かりやすく伝えるパッケージとしては、エクストリームスポーツという形になるのかなと思っています。

——2020年東京五輪に向けたプロジェクトとしてお考えでしょうか?

阿嘉:2020年に向けてやっているわけではありませんが、大きなチャンスだとは思っています。作ってみないと分からないところもありますが、たとえそうならなくても、僕は挑戦を続けていきたいです。

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