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midiglue開発者インタビュー

試作開発をオンラインで集まりながら1カ月半で実現——MIDI/CVコントローラー&エフェクター「midiglue」

midiglueのUSBまわりの開発を主に担当した野崎氏。 midiglueのUSBまわりの開発を主に担当した野崎氏。

週2回はビデオチャットをつなぎながら「もくもく会」

——試作品が完成するまでわずか1カ月半でしたが、早く開発するコツはありますか?

青木

青木さん

「midiglueは、2018年5月に開発を始めて、約1カ月半という短期間で試作を完成させています。僕らは、物理的なオフィスや特定の集まる場所を持っているわけではないので、プロジェクト管理は基本的にオンラインで行っています。ソースコードはGitLab、進捗状況はSlackを使って共有し、タスクはTrelloを使ってチケットを管理しています。メンバーは学生と新社会人、基本的に活動できる時間帯も異なり、距離も離れているので、それぞれの自宅からリモートで開発して進めています」

あとは週2回、ビデオチャットで集まって『もくもく会』という時間をとって開発しています。夜20時からスタートし、気分が乗っている適当な時間まで開発する。それぞれが疲れるまでやります。気持ちが乗っているときは、朝5時まで開発を進めることもあります。メンバーは、夜型が多いので、夜は開発が進みやすいのかもしれません。

順調に開発を進めるためには、集中力を保ちながら、モチベーションを損なわせないことが大事です。気持ちが乗っているときは普段の何倍も開発を進められるけど、気持ちが乗っていないときは何をやってもダメです。『今日は気持ちが乗っていなくてだるいので終わりにします』って言って全く開発をしないこともありました」

野崎

野崎さん

「sigboostを開発していた時よりもmidiglueは圧倒的にうまく進んでいたように感じています。まず、メンバーの森口さんが持っているノウハウもあって、ハードウェアの試作を早く用意できたこと、ソフトウェアが一発で動作したことが大きかったと思います。みんなのモチベーションに影響しました。次の作業に入る合図出しのタイミングも良かったと思います。テンポよく開発を進めることができました。

sigboostが壮大なテーマだったこともあって、midiglueに機能を絞って始めてからは、一歩一歩、目に見えて着実に進んでいる感じがありました。開発を進めたら、ものが動く。完成までの道も遠くなかった。ゴール地点が近くにあることが良かったのかもしれません」

もくもく会の様子を語る二人。 もくもく会の様子を語る二人。

オンラインで進める開発の難しさ

——会わずにインターネット経由で開発するコツはありますか?

青木

青木さん

「個人的な経験として、筑波大学にenPiTという、アジャイル手法で数週間の間に試作品を開発する授業があります。チームを組んで2週間集まりながら試作品を開発し、その後は各自で製品をブラッシュアップしていきます。僕は、茨城大、広島大、早稲田大、富山大学と自分の大学以外の方とチームを組みました。試作品が完成した後は、それぞれバラバラの場所にいたので、オンラインでSlackを使って進捗を共有しつつ、進めることになりました。

オンラインで開発を進めていると、突然みんながオフラインになり、誰も反応しなくなって、うまくいかなくなることが多いです。しかし、enPiTのときは問題も起きずに、それぞれ個々で行動し、進捗を共有して進行がうまくいきました。顔を合わせて作業を進めるのは簡単だと思いますが、顔を合わせないで作業を進めるのは意外に難しい。具体的なコツではありませんが、その時の経験というか知見が今回にも生かされているの思います」

自由にプログラミングしたエフェクトを簡単にコンパイルすることができる。 自由にプログラミングしたエフェクトを簡単にコンパイルすることができる。

——メンバーは音楽好きが集まっているのでしょうか?

野崎

野崎さん

「メンバーはどこかしら音楽が好きですが、エンジニアリングにも興味があります。プログラマブルな音楽というところだったり、FPGAで開発していたり、エンジニアとして魅力的な部分があって集まってきています。個人的に楽器を作ってみたかったというのもありましたし、多くの人に使ってもらえる製品を作ってみたいという思いもありました。僕はUSB周りの開発の知見があったので、技術的にも貢献できそうだと思って参加しています」

——楽器店からの反応はいかがですか?

青木

青木さん

「販売店から取り扱いたいという連絡をいただいています。しかし、midiglueのメンバー全員がエンジニアで、営業を得意としている人もいませんし、現段階で小売りまで手を広げても問題ないか、コストも考えなら検討していかなくてはいけないと考えています」

——今後の展望を教えてください。

青木

青木さん

「ユーザーの反応を見ながら展開を考えつつ、次の製品を開発してFPGAをもっと簡単に開発できるようなソフトウェアを作りたいです。Kickstarterで資金調達できても会社を継続するのは難しく、理想的には、1カ月に1台は新製品をリリースできるようになりたい。頻繁にリリースして楽器店や量販店に製品を展開していくためには、もっと使いやすいソフトウェアエディタを開発しないといけない。まだまだ課題は多く、会社も手探り状態ですが、もっとライブで製品を使ってもらえるようになると嬉しいですね」

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