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「透明人間」ならぬ音響上の「透明空間」を米大学が実現

米デューク大学の研究室が2014年3月11日、世界初の3次元音響クローキングデバイスを開発・実証したと発表した。

「透明人間」ならぬ音響上の「透明空間」を作り出すデバイスで、いくつかのプラスチックの穿孔シートで作った覆いと膨大な量の複雑な計算処理を用いることで、音波が届いてもデバイスが存在しないかのように、床面で反射したかのように軌道を変え、音響上はデバイスが「そこにない」ことにする。しかも同デバイスは、音がどの方向から来ているか、あるいは観測者がどこに位置しているかにかかわらず機能するという。

3D音響クローキングデバイス 3D音響クローキングデバイス

同デバイスを開発したデューク大学の電子・コンピュータ工学のSteven Cummer教授は、「対象の周囲にこの覆いを配置することで、音波の通り道には平らな面以上のものが『そこにない』ように振る舞わせられる」と説明している。

「そこにない」状況を具現化するには、覆いが音波の軌道を変え、音波が床面で反射していたような状態と一致させる必要がある。例えば、デバイスから床面の距離、床面に到達しないで反射する分の時差も計算し、音波を少し遅らせなければならない。これは簡単な処理ではなく、音波がどのようにその構造と相互作用するかを計算するのに、多くのエネルギーを費やしたという。

デバイスを形作る素材にしても、Cummer教授と同僚たちが天然素材を組み合わせた専用のメタマテリアルを開発した。繰り返しパターンで穴を開け、互いの上に積み重ねたピラミッドのような形状を採用。3Dプリンティングによって形作った。

開発後のテストについては、小さな球に覆いを被せ、さまざまな角度から短い破裂音を当てた。そしてマイクを使い、音波がどのように反応したかをマッピング、音波が空気中を移動する様子のビデオを制作した。これを、遮るもののない床面でマッピングしたビデオと、デバイスを外して小さな球のみでマッピングしたビデオとの3者で比較。デバイス設置時のビデオは、床面のみのビデオと明らかに同じ内容になった。

音響上の「そこにない」空間を生み出すことに成功したことで、将来的には、ソナー回避や建築音響などで応用の可能性があるという。後者については、音をコントロールしなければならない講堂やコンサートホールなどで、構造的な理由で梁を入れなければならず、しかしそれが音を台無しにするものだった場合、このデバイスを使って音響を修正することができると見込まれている。 

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