東大や理研など、2015年に3Dプリンタで作る人工骨を実用化
2014/04/07 17:00
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けたネクスト21、東京大学、理化学研究所などの日本の研究チームが、3Dプリンタを使ったカスタムメイド人工骨技術を開発した。この技術は、臨床試験により有効性・安全性を確認済みで、医療現場での利用に向けた医薬品医療機器総合機構(PMDA)への薬事承認申請を完了したと発表した。
この人工骨は3Dプリンタで出力することで、内部構造の設計だけでなく0.1mm単位での形状再現が可能で、患者の骨との癒合も早いという。PMDAによる約10カ月の審査後、2015年に実用化の予定。
先天的か後天的かを問わず、骨の欠損の治療には欠損部への骨の移植が必要だが、日本では本人の骨の移植が第一選択肢であり、足や腰の骨を手術によって摘出した上、移植部の形状に合わせて削って使用していた。自骨との癒合は良いが、患者から新たな骨を取り出すことや、正確な形状を作ることが難しいこと、手術時間が長くなることにより合併症の発生が増えるといった問題があった。また、これまでも熱処理した人工骨のブロックから工作機械で削りだして整形する技術はあったが、骨との癒合が難しかった。海外では亡くなった方から骨を取り出して保管・流通させる「ボーンバンク」があるが、倫理的問題や感染の可能性があった。
今回開発されたカスタムメイド人工骨技術は、成型方法、原材料、硬化処理方法が従来と異なっており、骨内部構造や正確な形状再現が可能なほか、熱処理をしないために生理的に活性な特性を保ち、骨への癒合が早く時間の経過とともに白骨へ変化(骨置換)する特徴を持つ。
ネクスト21は、薬事承認(製造承認)の取得後は、日本市場へ普及させるとともにアジア市場への輸出を計画しているほか、オランダやカナダの会社とライセンス契約締結に向けた交渉も始めているという。