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3Dプリンタで作り、育ったら丸ごと食べる未来の食品

オランダの若き女性デザイナーが考案したこの“軽食”は、3Dプリンタを使ってプリントした苗床に野菜の種やキノコの菌糸を植え付け、生長したらパイ皮などの入れものごと、そのまま食べるという画期的なコンセプトだ。

この軽食は「Edible Growth」と呼ばれている。考案したのはオランダのアイントホーフェン大学の工学生クロエ・ラツェルベルト氏で、オランダを拠点に世界的に活動している応用科学研究機構(TNO)と共同で開発を進めている。

Edible Growthは3つの要素からなる。まず苗床で、これは乾燥した野菜やフルーツ、ナッツ、タンパク質、寒天培地など食べられるもので作られる。次に植物の種や小さな苗、キノコの菌糸、酵母、ある種のバクテリアなどの有機体で、これらが苗床で育つ。そして入れ物となるクラストで、これはパイ皮やパスタなどの炭水化物で作る。それぞれの要素は既に存在する食品3Dプリンタでプリントできる。プリント後、苗床と有機体を合わせて入れ物(パイ皮などは焼く必要があるが)に入れる。食べられるまでに生長させる期間は5日、より長く生長させれば、食べ物の香りや味が強くなる。

このEdible Growthコンセプトの価値は、農場から食卓に載って口に入るまでのさまざまなむだをなくせることにある。農場の作物は全てを食べるわけではなく捨てる部分があるし、収穫や長距離を運ぶためにはエネルギーが必要となる。また、新鮮さも失われてしまう。Edible Growthは必要なところで必要なだけ作って、できたらすぐ食べることができ、栄養バランスに優れ、また個人ごとに必要な栄養素をカスタマイズできる。

「砂糖やお菓子だけが、食品3Dプリンタの応用ではない。食品3Dプリントによって、食品の廃棄を減らすことができる。理論的にはこの新しい形の食事は、より自然で新鮮、また消費するだけの食料でなく、優しく美味しい食事をもたらす可能性がある。Edible Growthは食品の流通経路を短縮し、食経験を豊富にするはずだ」とラツェルベルト氏は述べている。 

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