「多光子ソリグラフィ」で高さ80μmの人物彫刻を制作
2014/11/20 19:00
ロンドン在住のアーティスト、ジョンティ・ハーウィッツ氏が制作した世界で一番小さな彫刻は、ヒトの髪の毛の太さとほぼ同じサイズで、走査型電子顕微鏡でなければ見えないほどだ。
ハーウィッツ氏の作品は、踊る人物や天使の像など数点で、走査型電子顕微鏡を用いないとその姿が確認できないほどに小さい。用いた技術は「多光子ソリグラフィ」と呼ばれる手法で、原理的には光学式3Dプリンタと同種の技術だ。ドイツのカールスルーエ工科大学とイスラエルのワイツマン科学研究所との共同研究により実現した。
この彫刻は、2光子吸収という物理現象を利用している。紫外線硬化型の光感受性ポリマーに対して、紫外線よりも波長の長いレーザー光をレンズを使って集光すると、焦点では2光子吸収が起こって紫外光に変わり、ポリマーが硬化する。「この照射のプロセスはコンピュータによって制御され、ゆっくりと何時間もかけて層を築き上げていった」とハーウィッツ氏は説明している。
またハーウィッツ氏は「技術は人間の近くで扱える範囲を超え、神話との境界があいまいなほどだ。それほど、不可能を可能にできる時代に私たちは生きている。いわば私たち自身が創造主になれる時代だ。ナノレベルでの創造は、科学の偉業に留まらないということを、人々に示した」とも述べている。