Google月面探査レースに参加のHAKUTOに、丸紅情報が3Dプリンタの技術支援
2015/06/26 17:00
民間組織による月面無人探査レース「Google Lunar XPRIZE」(GLXP)に日本から挑戦中の月面探査チーム「HAKUTO」(ハクト)は、丸紅情報システムズとテクノロジーパートナー契約を締結したと発表した。今後、月面探査ローバーのフライトモデル開発を進めるにあたり、丸紅情報システムズから3Dプリンタと3Dスキャナの技術支援を受けることになる。
GLXPは、純民間開発の無人探査機を月面に着陸させて、500m以上走行した後、事前に指定された動画・静止画データを撮影し、地球に送信する国際賞金レース。賞金総額は3000万ドルで、1位になると2000万ドル、2位には500万ドルが与えられる。運営はXPRIZE財団、スポンサーはGoogleで、世界各国から18チームが参加している。
ハクトはベンチャー企業・ispaceが運営するチームで、日本から唯一、GLXPに参加。ミッションの中で出会うさまざまな環境を再現して試験・分析するGLXP中間賞3部門の中で、月面ローバーの性能を評価した「モビリティサブシステム」部門の中間賞を受賞。賞金50万ドルを受賞している。
ハクトは現在、月面ローバーの小型化・軽量化に取り組んでいるところだという。今回の提携によって、丸紅情報システムが保有するストラタシス製3Dプリンタを使って月面ローバーのフライトモデル開発を進められるようになる。ストラタシス製3Dプリンタはプレフライトモデルの車輪を造形する際にも利用しており、設計の自由度が高くなる点と、温度変化の厳しい環境にも適応できる耐熱性に優れた造形材料「ULTEM9085」を使用できる点が月面ローバー開発に適しているという。
また、3Dプリンタを使って造形した部品は、独GOM製の3Dスキャナ「ATOS」を使って設計値との製造差異を検証することになる。検証したデータを設計改善に役立てて、より高品質の製造を追求していくことで、通常の宇宙開発機よりも開発期間を短縮したいとの考えだ。