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ストラタシス、ハリウッドの特撮工房と共同でC・ロナウドのサイバークローンを制作

ストラタシス・ジャパンは、美容機器メーカーMTGが展開する「BODY REVOLUTION PROJECT」で同社のイメージキャラクターを務める、クリスティアーノ・ ロナウド選手の等身大サイバー・クローンをハリウッドの特撮工房Legacy Effectsと共同製作した。
2015年7月8日に開催されたMTGのトレーニング器具新製品「SIXPAD」のPRイベントにおいて、来日したロナウド選手の前でサイバー・クローンを公開した。

制作は4カ月弱という短期間で行われ、制作を担当したLegacy EffectsのDavid Covarrubias氏は「3Dスキャンと3Dプリンタが無ければ実現不可能なプロジェクトだった」と語った。

初めて見る自身の等身大サイバー・クローンを戸惑いながら、細部を確認するロナウド選手。 初めて見る自身の等身大サイバー・クローンを戸惑いながら、細部を確認するロナウド選手。

サイバー・クローンとは、外形だけでなく骨格や皮膚の質感、筋肉の動きなどまで再現した人形。2015年2月にストラタシスとLegacy Effectsのスタッフがスペインのマドリードに行き、110台のデジタル一眼レフカメラを使ってロナウド選手の全身をくまなくスキャニングした。顔や生え際などの指標となる詳細な寸法も手作業で測定し、40分で必要なデータを収集した。

「Objet500 Connex3」でプリントしたロナウド選手の頭部のマスターモデル(上)とLegacy Effectsの特殊メイクを施したサイバー・クローンの顔面マスクのサンプル(下)。 「Objet500 Connex3」でプリントしたロナウド選手の頭部のマスターモデル(上)とLegacy Effectsの特殊メイクを施したサイバー・クローンの顔面マスクのサンプル(下)。

作成した頭部モデルを、ストラタシスのマルチマテリアル3Dプリンタ「Objet500 Connex3」を使ってマスターモデルを作成。そのマスターモデルに皮膚のしわなど手作業で採寸した詳細な情報をもとにLegacy Effectsアーティストが追加、修正し、型取りのためのクレイモデルを作成した。

腹部、上腕部、大腿部は表層部にシリコン素材を使用し、その下層部分にはObjet500 Connex3で造形した筋組織様デザインパーツと、Legacy Effectsによる独自プログラムを施したLEDを配置したスケルトン構造となっており、MTG社のウェアラブルトレーニング器具SIXPADの動作に反応して動き、発光する。

また、まばたきや目の動きを再現する頭部の内部機構はストラタシスのFFF方式プリンタ「Dimension」を使いABS樹脂でプリントした。ハリウッド映画でも使用されているLegacy Effectsの最先端の特殊メイク技術で骨格や皮膚の質感、顔の表情などの細部を再現した。

ロナウド選手のサイバー・クローン制作プロジェクトのスケジュール。 ロナウド選手のサイバー・クローン制作プロジェクトのスケジュール。

Legacy Effectsによれば、頭部のクレイモデルの制作だけでも従来の制作手法であれば2週間が必要で、その後の作業はクレイモデルが完成しないと進められないため、全体の制作日数も長期間になるが、40分のスキャン/採寸と1日のプリントで済んだことで大幅に短縮できたという。

ストラタシス・ジャパンの代表取締役社長 片山浩晶氏は「Legacy EffectsのSFX技術とストラタシスの3Dプリンティング技術が融合することで、限られた時間の中で高精細なサイバー・クローンを制作できた。こういった既存の技術とうまく融合することで、これまで実現しえなかったことが可能になるのが、デジタルファブリケーションの優位性」と語った。

ロナウド選手の等身大サイバー・クローンは、7月12日まで、東京・丸の内の丸ビル1階マルキューブで展示され、その後はアジア各国を巡回する予定。 

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