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RepRapPro、1月15日をもって解散

RepRap Professionalが2016年1月15日をもって取引を終了し、解散することを公式サイトで明らかにした。

同社はオープンソースの3Dプリンタ開発に取り組み、設計、ソフトウェアのソースコード、ドキュメントを同社サイトやGithubで公開してきた。

倒産ではなく借金も抱えていないとしているが、低価格3Dプリンタの市場は過当競争に陥っており、同社のような小規模な企業では成長する見通しが立たないことを解散理由として挙げている。

1月15日まではサポートや製品保証を継続し、未出荷分の注文にはすべて対応。別会社のRepRapPro Chinaは、継続して事業を続けることになる。

RepRapProの解散について、慶應大SFC環境情報学部准教授の田中浩也氏からコメントをいただいたので全文をそのまま掲載する。
コメント中の「氏」は、RepRapプロジェクトを始めたAdrian Bowyer(エイドリアン・ボイヤー)氏を指している。(編集部)

今から5年前にRepRapを入手してから、私の研究室では大小さまざまのRepRapを改良するようになり、既存の3Dプリンタで新しい3Dプリンタの部品をつくることも、今では当たり前の日常となりました。研究室にはRepRapに関するボード、部品、モーターをいつもストックしています。

UltimakerやMakerbotなど、製品化されよく知られた3Dプリンタの多くが実はRepRapをベースに生まれたこと、そして「3Dプリンタ」を題材に設計図やソースコードをすべて公開する「オープンソースハードウェア」の可能性を世に問うたことなど、現在起こりつつある、メイカー中心イノベーションの、最初の着火点をつくった氏の功績はあまりにも大きいと思います。

RepRapProの解散のあと、彼は新しく何を始めようとしているのでしょうか。

いま私たちは、2016年3月3日~5日に「第2回国際デジタルファブリケーション学会(「ファブ地球社会シンポジウム」を同時開催)」を東京で準備しており、RepRapプロジェクトの創始者であるエイドリアン・ボイヤー氏には招待講演をいただく計画です。今後の氏の方向性や展望など、十分に質問できると思いますので、ぜひお越しいただければと思います。その会の中で、私たちがRepRapをベースに開発している、世界的にも新しいデジタル工作機械を一部お披露目する予定です。
http://iith.ac.in/~icdf16/

近年、日本では筋電義手ベンチャーExiiiが「オープンソースハードウェア」の先駆的な取り組みを行っていますが、世界に知られる、有意味なオープンソースハードウェアプロジェクトをどんどん生み出していくことが、これからの私たちの目標ではないでしょうか。

慶応義塾大学SFC研究所 ソーシャルファブリケーションラボ代表 田中浩也
(原文ママ)

また、RepRap Community Japan / Genkei.LLC 両代表 加藤大直氏からもコメントをいただいたので全文をそのまま掲載する。(編集部追記:1月12日 10:00)

RepRap Community Japanを始める前、当時アメリカにいたときにRepRapUKとUSに出会い右も左もわからないところから自己複製可能な3Dプリンターを作るという行動に出たのを思い出します。

7-8年前の当時は現在のようにパーソナル3Dプリンターの部品というものはマーケットにあまり存在しなかったのでRepRapのオンラインチャットやフォーラムで世界中の3Dプリンタークリエイターの先駆けの人たちと一緒に日々何かを削ったりプリントしたり穴あけたりして、それこそ3Dプリントが終わる数時間ごとに進化させてきました。

朝起きたら誰かが3Dプリンターの何かを進化させていたそんな毎日から多くの人に3Dプリンター用のパーツや本体のキットを開発販売し始めた、それこそ先駆であるのがRepRap創設者のAdrian Bowyer(エイドリアン・ボイヤー)博士率いるRepRapProでした。

RepRapProはパーソナル3Dプリンター開発において黎明期も黎明期に世界中に広めた大きな功績があります。

私個人も大いにお世話になりRepRap Community JapanでもGenkeiでもatomや個人の開発機に使用しフィードバックを行ったのを思えば彼らの先見からしかたなく終えた今回のクローズは少しさびしくも感じますが、メイカーズムーブメントの中枢であった博士とそのメンバー達は新しいことを行うまさに転機点なのだと思います。

すでに何か新しいことをやりそうな雰囲気を纏っていますが、何をするのか楽しみでなりません。

現在では3Dプリンターは多くの製品が世の中に出回ってきていますがそれは技術の向上が続いているということです。RepRap Community Japanは引き続きオープンな日本のパーソナル3Dプリンターのコミュニティなので日本全国の3Dプリンター開発の情報交換を続けていきたいと思います。

RepRap Community Japan / Genkei.LLC 両代表 加藤大直
(原文ママ)

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