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英リヴァプール大、液体アンテナの研究プロジェクトを開始

英リヴァプール大学は1月16日、英国工学物理科学研究会議(EPSRC)から57万8000ポンド(約8170万円)の研究開発費を調達し、液体アンテナ技術の研究プロジェクトを立ち上げることを発表した。

アンテナは電波を電気信号に変換する役割を担うため、スマートフォンやレーダーなどのモバイル/ワイヤレス製品には不可欠だ。従来のアンテナは銅など電気伝導率のよい金属でできており、使用する周波数に合わせて形状を変えることができず、また大きさや重量、コストなどの課題がある。特に近年、IoT(Internet of Thing)が普及し5G通信の実用化が近づくに従い、さまざまな周波数に対応し、小型で軽量なアンテナの必要性が高まっている。

代表的な液体である水は電気を通すため、金属アンテナが直面する多くの課題を解決できる可能性があることがわかっている。しかし、水は低温で氷結して固体化するという制限がある。

この研究プロジェクトでは、電気工学から無線工学のエキスパートと化学工学から物性科学の専門家を集めてチームを結成し、アンテナとして最適な液体材料の選定を目的とする。

今後候補となる液体の伝導率や熱的/機械的安定性に加え、耐用温度範囲(-30~60℃)や、kHz~GHz帯の正確な送受信、100kWまでの電波出力維持などをテストする。また、液体アンテナの設計と製作方法についても、周波数や放射パターン、アンテナのサイズなどを容易に変更可能で、幅広い用途に適応できるよう、あわせて検討する。

このプロジェクトにはEPSRCによる資金提供に加え、イギリスの国防関連企業BAEシステムズ、中国の電子機器メーカー華為技術(Huawei)も関与している。

fabcross for エンジニアより転載)

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