ST、超低消費電力でコスト効率の高いLPWAN評価用STM32開発ボードを発表
2017/03/06 14:30
STマイクロエレクトロニクスは、LoRaWANや各種省電力広域ネットワーク(LPWAN)技術(6LoWPANなど)の評価・開発を低コストで始められる開発ボード「B-L072Z-LRWAN1 Discovery kit」と「I-NUCLEO-LRWAN1」を発表した。
B-L072Z-LRWAN1 Discovery kitは、STM32L072CZマイクロコントローラとSemtechのSX1276トランシーバを集積した村田製作所のオープン・モジュールをベースにしている。同モジュールはLoRaモデムを搭載しており、超長距離スペクトラム拡散方式の通信や高い耐干渉性とともに、消費電流の最小化を実現する。
同モジュールはオープンのため開発者は、STM32L072マイコンとペリフェラルにアクセスできる。また、組み込みソフトウェア・ライブラリのSTM32L0 HALやLL APIを利用してアプリケーションを開発できる。さらに、STM32 Nucleoの開発エコシステムやArduino拡張ボードを活用して、同ボードの機能を拡張できる。
オンボード・デバッガ、STM32 Nucleo用morphoコネクタ(64ピン)、Arduino互換コネクタ、電源ソケットを搭載。また、MDK-ARM統合開発環境(IDE)、初期設定ツールのSTM32CubeMXと各種ソフトウェア・ツール、STのLoRaWANプロトコル・スタック(I-CUBE-LRWAN)などの開発エコシステムを無償で利用できる。
一方、I-NUCLEO-LRWAN1は、STM32 NucleoやArduinoボード用の拡張ボードだ。LoRaによる通信やFSK/OOK(周波数偏移変調/オンオフ変調)通信用アプリケーションの開発を、メイン・ボードに接続するだけで始めることができる。同ボードは、STM32L052T8マイコンとSemtechのSX1272トランシーバを集積したUSIのLoRaWANモジュールを搭載している。
USIのモジュールに組み込まれたATコマンド・スタックは、プログラミングの手間を省き開発を迅速化する。また、I-CUBE-LRWANスタックを無償で利用可能。加えて、STの3軸加速度センサ、気圧センサ、温湿度センサを搭載している。
両ボードともLoRaWANの認証を取得済みで、860~930MHzの周波数帯域利用に関する各国の無線通信規則に準拠。また、業界標準プロトコルに加え、長距離通信を行うIoT機器向けに、独自のLPWANプロトコルにも対応している。