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乾いた空気から水を絞り出す——UCバークレーとMIT、太陽光のみを使う水生成装置を開発

カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)とマサチューセッツ工科大学(MIT)の共同研究チームが、太陽光のみで作動して水を捕集するデバイスを開発した。金属有機構造体と呼ばれる多孔質材料を用い、乾燥した地域と同等の湿度の空気から水を吸着、太陽光を利用して1日数リットルの水を生成することに成功した。研究成果は、4月13日付で『サイエンス』に公開されている。

湿潤な空気から水を凝結させて取り出すのは簡単だが、乾燥した空気から水を捕集するには、相当大きなエネルギーを要する。UC BerkeleyとMITの共同研究チームは、金属有機構造体MOF(Metal-0raganic Framework)を活用することにより、この長年の課題のブレークスルーに成功した。

UC Berkeley化学科のOmar Yaghi教授は1990年代に、マグネシウムやアルミニウムのような金属原子が有機分子で架橋された、多孔質で結晶性の高いMOFを発明した。MOFは、細孔構造・比表面積・形態などを人為的に設計できるため、ガスや液体を捕捉、貯蔵するのに理想的だとされている。Yaghi教授の研究チームは、ジルコニウムとアジピン酸を組み合わせて、水蒸気を固定するMOFの合成に成功、MITのEvelyn Wang氏に、このMOFを用いて水の捕集システムを共同で作ることを提案した。

研究チームが設計したシステムは、MOF結晶の微粉末を太陽光吸収プレートとコンデンサープレートとの間に詰め、外気に開放されたチャンバー中に設置されている。外気が多孔質のMOFの中に拡散すると、水分子が内表面に優先的に吸着する。開口部から差し込む太陽光が吸収プレートを通してMOFを加熱し、吸着されている水分子が水蒸気となる。これが外気温度に保たれたコンデンサーに触れて凝結、水となってコレクターに集められる仕組みだ。プロトタイプ装置では、1kgのMOFを用い、湿度20~30%の条件で、12時間で空気中から2.8リットルの水を絞り出すことに成功した。

Yaghi教授は、「我々の将来構想は、乾燥または砂漠気候においても全ての家庭が、必要な水の全てを空気から供給する太陽光駆動のデバイスを、各家庭に配置することだ」と、その狙いを明らかにする。「現在のMOFでは重量の20%の水しか吸収できないが、他のMOF材料を使うことで40%以上吸収できる可能性がある。また、もっと多くの空気を送り込むことで、水生成速度を高めるシステムも設計できる」と、Yaghi教授はシステム改善の方向性を説明している。

fabcross for エンジニアより転載)

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