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無線の多段中継でクラウドまで伝送——Wi-SUN FAN搭載のIoT用ゲートウェイを開発

京都大学の原田博司教授らと、ロームによる研究グループは、台湾NextDrive、日新システムズと共同で、国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載したIoT用ゲートウェイの開発に成功した。内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環となる研究で、IoT用ゲートウェイ同士を多段中継し、通信エリアの面的カバー率を向上できる。

Wi-SUN FAN(Field Area Network)は、センサーからの情報をIPv6による多段中継(マルチホップ)を利用して低消費電力で伝送できるIoT向け通信仕様。京都大学、ローム、日新システムズは共同研究により、2016年11月にこの規格に対応した無線機の基礎開発に成功している。

        想定した利用例

今回開発したIoT用ゲートウェイは、NextDriveが開発した小型IoT用ゲートウェイ「Cube J」に、京都大学、ローム、日新システムズが開発してきたローム製無線モジュールを用いたWi-SUN FAN無線通信モジュールを搭載し、47×47×38mmの筐体に納めたもの。このゲートウェイにより、収集したデータを別のIoT用ゲートウェイにWi-SUN FANによる多段中継で伝送することが可能になり、面的なカバー率が向上する。中継段数は10段以上も可能で、大規模施設でも利用できる。

Wi-SUN FANはWi-Fi(2.4GHz帯、5GHz帯)と異なる周波数(920MHz帯)を用いているため、Wi-Fiとの干渉もなく、堅牢性の高いIoT用ネットワークが構築できる。また、長距離伝送特性を有するWi-SUN FAN搭載のセンサー、メーター、モニター機器との接続にも利用できる。

        実証試験の様子

今回、Webカメラの画像をUSB経由で、また温湿度センサーのデータをBluetooth Low Energy(BLE)経由でIoT用ゲートウェイに伝送し、IoT用ゲートウェイ間をWi-SUN FANを用いて多段中継伝送した後、親となるIoT用ゲートウェイまで伝送して表示するというデモンストレーションを行い、良好な伝送特性を得られることを実証した。

今後4者は、このIoT用ゲートウェイを商用化するため、Wi-SUNアライアンスと共同で開発を行っていく予定だ。またこの成果は5月24日から東京ビックサイトで開催される「Wireless Japan 2017」、5月30日から台湾(台北)で開催される「COMPUTEX 2017」においてデモ展示する予定だ。

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