トマトの病害をAIが予測——AIを活用した農作物の病害予測サービス「Plantect」
2017/06/09 16:30
ボッシュは、センサーとAIを活用したハウス栽培トマト向け病害予測システム「Plantect(プランテクト)」を2017年内に発売する予定だ。AIを使った独自アルゴリズムによるデータ解析により、精度の高い病害予測を実現している。
農業の収穫量に影響を及ぼす要因には、自然災害などとともに病害の発生が挙げられ、予防のためには感染の前後での予防薬の散布が効果的だと考えられている。しかし病害は実際に発生するまで目に見えないため、散布の最適なタイミングの把握は困難だった。また、散布量とタイミングを適切に管理するためには、病害発生の兆候を把握することも重要になる。
Plantectは、温度湿度などの基本的なパラメーターのほか、日射量や葉濡れ、栽培環境や外気象といった、ハウス栽培での病害発生に影響を及ぼす要因をAIにより解析することで病害予測を実現するシステム。ハウス内環境を計測するハードウェアと、計測された数値をもとに病害発生を予測するソフトウェアで構成されている。
ハードウェアには、温度、湿度、日射量、二酸化炭素量を計測するセンサーが備えられ、ハウス内に設置してこれらのデータを計測し、クラウドに送信する。ユーザーは、スマートフォンやPCなどからWebベースのアプリを通じてクラウド内のデータにアクセスできるため、いつどこからでもリアルタイムでハウス内環境の確認や過去データの参照が可能だ。
また同社は今回、AI技術を用いた病害予測アルゴリズムを開発。独自のアルゴリズムと各ハウスの計測データをもとに病害の発生を予測するため、各ユーザー向けにカスタマイズされた病害予測が可能だ。クラウドに送信された計測データは、葉濡れなど病害発生に関わる要素が解析され、気象予報と連動し、植物病の感染リスクの通知がアプリ上に表示される。過去データの検証では92%の予測精度だったという。
センサーと通信機間の通信には長距離無線通信(LoRa)を採用。バッテリー駆動のため、初期設置のための施工を考慮することなく、ハウス内のどこにでもワイヤレスで設置できる。バッテリーは市販のアルカリ電池で約1年稼動可能だ。
初期費用は無料で、月額の使用料金のみで利用できる。温度湿度センサー、CO2センサー、日射センサーの3つのセンサーと通信機、クラウド利用料、通信費用などを含むモニタリング機能は月額4980円、オプションの病害予測機能は月額3350円だ。
現在の病害予測機能は、ハウス栽培のトマトに限られているが、今後同社ではイチゴ、きゅうり、花卉など他の農作物への展開や、日本以外のハウス栽培市場での販売を計画している。