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ハーバード大、織布とシリコンを組み合わせた伸縮性のあるウェアラブルセンサーを開発

ハーバード大学の研究チームが、ウェアラブルロボット向けに、シリコンと織布を組み合わせたハイブリッド・センサーを開発した。柔軟で弾力性があるうえ感度も高く、人間の自然な動きを制約しないソフトロボットや、患者を在宅でモニターできる医療用デバイスなど、幅広い応用が期待されている。研究成果は、7月12日に『Advanced Materials Technologies』誌にて公開されている。

近年ウェアラブル技術は大きな注目を集めているが、ウェアラブルデバイスに使用されるセンサーの多くは、硬くて柔軟性がない素材で出来ている。そのため着用者の自然な動きを妨げたり、収集するデータ精度にも限界があるという課題がある。

今回、ハーバード大学ワイス応用生物学エンジニアリング研究所とジョン・A・ポールソン工学応用科学部の共同研究チームは、シリコン樹脂の薄いシートをコアにして、導電性のある銀メッキされた織布シートで両側から挟んだ構造の電気容量型センサーを開発した。センサーが引き伸ばされるとシリコンコアの厚みが薄くなり、電極として機能する両側の織布間の距離が小さくなるため、センサーのひずみ量に比例して電気容量が変化するという仕組みだ。

研究チームはセンサーの性能を高めるため、シリコンコアの両面に織布シートを液状シリコンを塗布して硬化させるプロセスを採用した。シリコンが織布中にある空隙に充填されて織布とシリコンの密着度が高まることで、シリコンコアは歪みが除去されたのちの形状復元へと寄与し、導電性織布はセンサーが引き伸ばされ過ぎないように歪みを規制する。また電荷を蓄積できる表面積が増大することで、大きな静電容量が得られるという。

photo Credit: Wyss Institute at Harvard University

研究チームは、このセンサーをロボット・グローブに装着し、精密モーターによる手と指の運動をリアルタイムで測定する実験を実施した。その結果、センサーに歪み付加開始後30ms以内に電気容量の増大を検出し、0.5mm以下の物理的変化を検出した。そしてグローブが開いているか握っているかだけでなく、各指の左右の動きを示すような電気容量変化および相対位置の時間変化が取得できることを確認した。これらの実験結果は、このハイブリッド・センサーが人体の細かな動きを即座に捉えることができることを証明している。

研究チームのConor Walsh准教授は、「このハイブリッド・センサーのように、ソフトロボットにおいても織布技術の活用が注目されるだろう。例えば、アスリートの激しい動きに追従するトレーニングウェアや患者を在宅モニターできる織布ベースの医療デバイスなど、様々なアパレルと組み合わせた新しいソフトロボットの作成が可能だ」と、この技術の応用分野を展望している。

fabcross for エンジニアより転載)

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