ドイツ製マジックアイEM800を使用——スペクトラムアナライザー「Magilyzer Mk II」
2018/06/18 10:00
レアなドイツ製マジックアイEM800を使用したオーディオ用スペクトラムアナライザー「Magilyzer Mk II」のクラウドファンディングが、Kickstarterで始まった。
マジックアイは、かつてラジオの受信強度や音響機器の出力信号レベルなどの表示に使われていた真空管の一種で、同調指示管とも呼ばれていた。しかし、トランジスターラジオ登場によって1960年代中盤に真空管の需要が衰退し始め、マジックアイの生産もやがて終了。現在は市場在庫を残すのみだ。このため、マジックアイの新品の価格は年々高騰している。
Magilyzer Mk IIに使われているマジックアイEM800は、独TELEFUNKEN(テレフンケン)が1966年に初期のカラーテレビ用に製造したものだ。しかし、1960年代の終わり頃にはテレビチューナーのトランジスター化が進み、同調指示管は時代遅れとなってしまった。大量に余ったEM800は使用されないままドイツの倉庫で50年間眠っていたため、今日でも手頃な価格で入手が可能だという。
Magilyzer Mk IIは、このEM800を6本使った6バンドのスペクトラムアナライザー。サイズは116×223×95mm(マジックアイ部分含む)だ。
バンド中心周波数は、63Hz、150Hz、330Hz、1kHz、3.3kHz、および10kHz。ステレオRCA入出力端子を備えており、AV機器に接続すれば出力レベルが蛍光表示される。
マジックアイEM84/EM87やその同等品である中国製6E2やロシア製6E3-Pでは発光部分が管の中央部分に向かって上下から伸びるが、EM800の発光部分は本物のVUメーターのように管の下部から上方向に伸びる。
PCのスクリーンセイバーのように、信号レベルがない時には蛍光表示しないようグリッドバイアスを球ごとに設定することもできる。なお、Magilyzer Mk IIは中国製マジックアイ6E2も使用可能だ。
Magilyzer Mk IIは組立式で、マジックアイなしのキットが209ユーロ(約2万7000円)、EM800が6本付属するキットは304ユーロ(約3万9000円)、EM800が12本付属するキットは399ユーロ(約5万1000円)。ただし、いずれのキットにも電源ユニット(DC 12V/2A)は含まれていないので注意が必要だ。いずれも出荷は2018年11月の予定で、日本への送料は7ユーロ(約900円)だ。
Magilyzer Mk IIは3500ユーロ(約45万円)を目標に、2018年7月15日までクラウドファンディングを実施する。