暑さにも負けず、今年も開催中——国内最大のMakersイベント「Maker Faire Tokyo 2018」
オライリー・ジャパンが主催する国内最大規模のMakersフェス「Maker Faire Tokyo 2018」が、2018年8月4日5日の2日間、東京ビッグサイトで開催中だ。今年も初日の会場からレポートをお届けしたい。
東京ビッグサイトの西2ホール側入口を入ると、ジャイアントメイキーバルーンが迎えてくれる。その左側にあるキッズ&エデュケーションゾーンから順に紹介する。
エデュケーションゾーンでは、イギリスBBC発STEM教育向けマイコンボード「micro:bit」を使った展示が目についた。手軽に使えるセンサーや「MakeCode」で簡単にプログラミングできることから日本でも普及しつつあるようだ。これはそのmicro:bitを使った「うおーるぼっと」。底面に4個のネオジウム磁石を配し、ホワイトボードなどの上を走行できる。本体もリモコンもmicro:bitそのもので、うまくまとめている。
今年もいました「前骨格(まえこっかく)」。MFT2017で異彩を放っていたガイコツロボットが光りものを身にまとって進化している。ブースでは風船やみかんのネットなどを材料にした「人工筋肉アーム」を展示し、子どもたちの人気を集めていた。
キッズゾーンを抜けると奥にファブゾーンがある。ここでは慶応大・看護FABの「Fab Nurse Project」 を紹介する。看護分野におけるデジタルファブリケーションの応用に取り組むチームは、介護や治療の現場で役に立つプロダクトの例を展示している。写真中央は、透析治療を控えた患者用の教育ツール「シャントモデル」。
西2ホール一番奥がスポンサーゾーンだ。導電性銀インクで知られたスタートアップのAgICが、エレファンテックと社名を変え、インクジェット印刷によるフレキシブル基板「P-Flex」を中心に展示する。GROOVEのグローブ型ウェアラブルデバイスにもP-Flexが使われているとのことで、他にも生体電極や電気化学センサーなどのプロダクトも紹介していた。
スポンサーエリアからもう1社はセメダイン。今年はABSやPLAといった3Dプリンター用の各マテリアルに適した接着剤を提案している。実際に3Dプリンターで造形した試験片を接着した試験結果とのことで、ver1.0として紹介されていた。今後さらに検証を進め、正式に公開したいとのことだ。
西2ホールを出て西1ホールへ入ると、どこかでみたようなノボリが。「頭の悪いメカ発表会」を始め、世の中の役に立たない系ものづくり企画でお世話になっているデイリーポータルZのブースだ。
MFT恒例となった「ミニヘボコン」。今年は「和」がテーマとのことで、和ヘボコン会場では座布団とちゃぶ台をはさんで、技術力の低い戦いが繰り広げられていた。
「和ヘボコン」の隣、モビリティゾーンで目を引くのは、なんと実物大のⅣ号戦車。合板と鉄板で砲塔とボディを作り、自動車のパワートレインを改良して走行できるようにしている。なぜⅣ号なのかは敢えて聞かなかったが、ここまで作るのに1年半かかったとのこと。特に鉄板を切って溶接した履帯のディテールが迫力の力作だ。
MFTでいちばん大きなエリアが、西1ホールのエレクトロニクスゾーンだ。先日fabcrossで紹介したArduino互換マイコン「Gingerb Bread」を手がけるGinger Desing Studioは、「つくるラボ」ブースで展示を行っていた。同ブースでは「ProgrammableBreadbord」も展示している。 内部にソフトウェアで制御できるスイッチと回路を組み込むことで、ジャンパーワイヤを使わずに回路が組めるブレッドボードを実現している。
レトロな柱時計は素敵なインテリアになるが、時計は正確なほうがありがたい。こちらでは、電子部品を使って古い機械式時計の精度アップを試みている。磁石を付けた振り子の下にコイルを置き、振り子に加わる重力を疑似的に増減させることで、振り子の周期を調整するというものだ。デモでは1秒ほどの誤差で動かせていると説明されていた。
他にもじっくりみたい展示や、家族連れでも楽しめる企画がたくさんある。Maker Faire Tokyo 2018は、東京ビッグサイト西1・2ホールで、2018年8月4日、5日の2日間開催中。熱中症対策を万全にして、ご来場いただきたい。
※記事初出時、文中に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。