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慶應大、3Dプリンターを中心としたデジタル製造装置開発の成果を発表

慶應義塾大学は、科学技術振興機構(JST)が主催する「JSTフェア2018」において、3Dプリンターを中心としたデジタル製造装置開発の成果発表を行った。

この研究は、科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援によって行われている「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」プロジェクトの「プロセス&テクノロジー」グループの研究の一部として開発されたもの。ここではその中から、「卓上でIoTデバイスを一個から製造可能な装置」と「多様な現場の要求に応じて3D プリンタを柔軟に拡張できる制御システム」の2件を紹介する。

「卓上でIoTデバイスを一個から製造可能な装置」

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同大大学院政策/メディア研究科 相部範之特任准教授らの研究チームは、卓上でIoTデバイスを製造可能な装置「FABRICATOR」を開発した。

同チームによると、複数のプロセスを連結する電子部品の製造において、複数の製造装置と搬送機構を設ける必要があり、大きな空間が必要とされている。

今回開発したFABRICATORは、IoTデバイスに欠かせない電子回路の複数の製造プロセスと、3Dプリンティングによる外装のパッケージングを一つの装置に統合し、IoTデバイスを1個から自動的に製造できるコンパクトな装置となっている。

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FABRICATORはデルタ型で保持されたステージ上部に、はんだディスペンサーやヒートガン、3Dプリンターノズルなどが搭載されでおり、ユーザーは最大6つの異なるプロセスを自由にカスタマイズして製造することができる。

そしてIoTデバイスの製造以外にも、異なる方式の3Dプリンティング、さらには細胞プリントや化学反応プロセス、フードプリンティング分野の研究等にも活用できるとしている。

「多様な現場の要求に応じて3Dプリンタを柔軟に拡張できる制御システム」

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同大大学院政策/メディア研究科 青木翔平特任助教らのチームは、企業や大学の研究室などの多様な現場の要求を反映して、画像処理などの高度な機能を付加できる、オープンソースのRepRap 3Dプリンターのための制御システムを開発した。

大学の研究の場で広く利用されているRepRap 3Dプリンターだが、コントローラー用プロセッサの制約により、画像処理を始め多様化する現場の要求に対応することが困難だという。

そこで研究チームは、ARM プロセッサと FPGA を統合したXilinxのSoC 「ZYNQ」 を採用し、OSとアプリケーション、マイクロコントローラー、論理回路を同一基板上で実行できるRepRap 3D プリンター用制御基板とその開発環境を開発した。

制御システムでは、同じくXilinxのオープンソースソフトウェア基盤「PYNQ」を活用、例えば積層中に造形物の実際の高さをリアルタイムに測定するといった機能をビジュアルプログラミングによって実装することができるという。

なおJSTフェア2018は、2018年8月30日~31日、東京ビッグサイトにて開催されている。

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