新しいものづくりがわかるメディア

RSS


バッテリーを使わずに使用履歴をWi-Fi送信できる3Dプリントデバイス

米ワシントン大学の研究チームは、義手などアシスティブテクノロジー(支援技術)向けに、バッテリーや電子機器を使用せずに使用履歴をワイヤレスで保存/送信できる3Dプリントデバイスを開発したと発表した。研究成果は2018年10月14日~17日、独ベルリンで開催された「ACM Symposium on User Interface Software and Technology(UIST)2018」で発表された。

研究チームは2017年にも、バッテリーレスでWi-Fi接続可能な3Dプリントデバイスを発表しており、今回はこれを発展させたものだ。基本構成はギア、スイッチ、アンテナから成り、物理的に回転するギアがアンテナのスイッチを押すことで、データを送信する。素材には一般的な導電性プラスチックフィラメントを使用し、既製品のプリンターで作製できる点も特徴だ。

データの送信には、周辺のWi-Fiなどの無線信号をアンテナで反射する「後方散乱技術」を利用している。ギアの歯の幅とパターンに連動して、アンテナのスイッチを押す時間が変わることで、反射される信号もモールス信号のようにパターンを持つ。自ら電波を発する必要がないので、データ送信に電子機器もバッテリーも不要というわけだ。

前回はギアの回転方向は1方向のみだったが、今回は2つのアンテナを使い、2方向の回転に対応した。時計回りの場合はアンテナA、反時計回りの場合はアンテナBとスイッチングさせ、ギアの形状を最適化することでアンテナを識別し、時計回り/反時計回りで異なる信号の送信を可能にした。

研究チームは、今回の技術を利用したプロトタイプをいくつか示した。例えば、ふた付ボトルにこのデバイスを組み込むと、ふたの開閉が判別できる。また、3Dプリンターで作製した義手「e-NABLEアーム」の場合は、手首の角度で、手を握っているか広げているかを検出できる。

さらに、インスリンペンのプロトタイプには、ラチェットとギアシステムを利用し、データ保存機能も追加した。Wi-Fiの接続範囲外でも、ペンのボタンと連動することで投与回数を機械的に保存できる。Wi-Fiの範囲内でラチェットを開放すればデータがアップロードできる。

これらのシステムにより、ユーザーが支援技術をどのように利用しているか把握することができ、支援技術の性能向上につながるという。今後は、実際の薬の容器や、義手、インスリンペンに組み込めるよう小型化したいとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

今人気の記事はこちら

  1. まるで電話のような感覚で会話できるキッズ向けトランシーバー「SONY ICB-1500 WALKIE-TALKIE(My first SONY)」
  2. LinuxマイコンのI/Oを学ぶ——CQ出版、「ラズパイで入門!Linux I/Oプログラミング教科書」発刊
  3. 失明の危機を救う治療用コンタクトレンズを開発
  4. 技術評論社、PICマイコン使い方ガイドブック「逆引き PIC電子工作 やりたいこと事典」発刊
  5. 1.5インチOLED搭載——Raspberry Pi用オーディオDACボード「NanoSound DAC 2」
  6. 全力で肯定してくれる女の子マシーンを作って救われた
  7. エネルギー密度を倍増できるリチウムイオン充電池——固体電解質相間界面の改良に成功
  8. 爆速ボクシング! 秒速25発パンチ編
  9. ソラコム、接点入力対応のLPWAボタンデバイス「SORACOM LTE-M Button Plus」を発売
  10. アルテック、MakerBotの3Dプリンター「METHOD」の取り扱いを発表——ヒートチャンバー、デュアルパフォーマンスエクストルーダーを採用

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る