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NASA、空気で作動する宇宙ミッション向けソフトロボットを開発中

Credits: NASA / David C. Bowman

アメリカ航空宇宙局(NASA)のラングレー・メーカースペース・ラボでは、インターンのChuck Sullivan氏とJack Fitzpatrick氏の両名が、惑星探索用のソフトロボットを動かす「浮き袋」型アクチュエーターを開発している。発表によると、動き回るだけでなく、合体、変形、強化し、一時的にさまざまな構築物を形成できるソフトロボットの開発を目指しているという。

ロボットと言えば、金属のアームやギアで構成されたメカニカルなイメージを持つが、ソフトロボットは柔軟な物質で作られていて、あたかも生命体のように柔らかい動きを見せる。Sullivan氏とFitzpatrick氏が研究中のソフトロボットは、3Dプリントされた鋳型にシリコーンのような柔軟な素材を注ぐことで作製している。

その研究の主眼は、ロボットのボディよりもアクチュエーターにあるという。柔軟な動作を可能にするため、内部に空洞を備えるアクチュエーターを開発した。この空洞は空気の量に基づき、拡大したり縮小したりする。空洞の中には管が通っているのだが、この管を通じて空気量を調節することで、ロボットを人間の筋肉のように収縮させ、動かすことができるという仕組みだ。

Sullivan氏とFitzpatrick氏の研究は、まだ発展の途上にある。彼らは、宇宙での探索と組み立てにおけるソフトロボットの可能性と限界を探るべく、機動性、接合、水平化、強化の4つの観点から、ソフトロボットとそのアクチュエーターの研究を続けている。

機動性とは、文字通り機体がいかに動くかだ。一方、接合とは、ロボット同士を合体させること。2つのロボットが接合すれば、何もない宇宙でも臨時の避難所を作ることができる。水平化とは、ロボットを平らに変形させること。強化とは、アクチュエーターでロボットに圧力をかけ、その素材を強くすることだ。これが可能になれば、ロボットはほこりや風をしのぐ仮設防御壁となり得る。

Sullivan氏は、「私たちが研究しているのは、惑星の表面を動き回り、そして互いに接合し合い、一時的に何らかの構築物となるロボットだ」と説明。Fitzpatrick氏は、宇宙飛行士の宇宙や惑星での生活を安全に保つために、「危険で、汚く、退屈な状況」でこそ、このソフトロボットが使われることを希望すると語っている。

fabcross for エンジニアより転載)

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