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デジタルファブリケーションアワード「YouFab Global Creative Awards 2018」受賞作品発表

FabCafe Globalが主催するデジタルファブリケーション領域のグローバルクリエイティブアワード「YouFab Global Creative Awards 2018」の受賞作品が発表された。

2012年に始まり今回が7回目の開催となる同アワードの今年テーマは、「議論」や「喧々諤々(けんけんがくがく)」といった意味がある「ポレミカ!」 。2018年8月1日から同年10月31日の応募期間中に32カ国から158点の応募があり、グランプリ1点、準グランプリ1点、ライオン賞(特別賞)1点、一般部門賞1点、学生部門賞1点、ファイナリスト11点が選出された。

photo 「Fish Hammer」

グランプリはアメリカ在住のイギリス人メディアアーティスト、ニール・メンドーサ氏の「Fish Hammer」が受賞。同作品は、水槽の中を泳ぐ金魚の動きに合わせて、周りのミニチュア家具にハンマーが振り下ろされて破壊していくもの。人間の生活が生態系に与える影響を問題提起した作品だ。金魚の動きをウェブカメラで捉えて、ハンマーの位置と振り下ろすためのカムの動きを制御する信号に変換する仕組みだ。

photo 「Mind in the Machine」

準グランプリに選ばれたのはアメリカのアニ・リウ氏によるプロジェクト「Mind in the Machine」。工場で働く労働者の脳波を検知し、彼らの認知、知覚状態に応じたニットを編んだもの。ストレスと感じている時にはタイトなステッチに、リラックス時にはルーズなステッチになるよう編む仕組みだ。機械製造が主流な現代における「人間の手作業」を象徴するプロジェクトで、自動化に支えられた経済への、すべての無名の人々の貢献を反映する作品となっている。検知した脳波データをスペクトログラム(声紋分析などに使用される周波数、振幅分布、時間の三次元で表示した記録図)で表し、脳波を反映した編み方ができるCNC編み機をプログラミングした。

photo
photo 「Hack the Natural Objects.」

今回はライオンによる特別賞「ライオン賞」を設置。「MERGE-仕事と暮らしが溶けあう未来」をテーマに募集された同賞は、日本のクリエイターユニット、ガダラ(GADARA)によるプロジェクト「Hack the Natural Objects.」が受賞。自然物に似せた石型のオブジェクトに人口的な機能を組み込み、傾きによって音量や明量を制御できるコントローラーを作り出した。自然と人工が“MEARGE”する日常、というコンセプトをプロトタイピングした作品となっている。3Dプリンターによって石の感触に近い外装を制作し、Arduinoによるジャイロセンサーやバッテリーを内蔵させ、音量、光量を調整できるシステムを開発した。

その他、一般部門賞は、大量の紙をレーザーカッターで加工したレリーフ「Typhoon I」(Michael Koehle制作)が、学生部門賞は、テレプレゼンス技術を活用して、複数人が一つの体をシェアして共同作業ができるアシストシステム「Fusion」(MHD Yamen Saraiji、 Tomoya Sasaki制作)がそれぞれ受賞した。

2019年2月16日、東京九段下のkudan houseにて授賞式が行われ、同年2月17日~2月24日の間、同会場にて上位受賞作品を中心に受賞作品が展示される。

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