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体内で鉱物を作る「バイオミネラリゼーション」——軟体動物が磁鉄鉱を形成するプロセスが明らかに

Kisailus Biomimetics & Nanomaterials Lab

岡山大学の根本理子特任助教と米カリフォルニア大学リバーサイド校のDavid Kisailus教授らの研究チームは、軟体動物の一種である「ヒザラガイ」が体内で磁鉄鉱を形成する仕組みの一部を解明したと発表した。生物が体内で鉱物を形成するバイオミネラリゼーションの理解は、次世代の耐摩耗性材料やナノスケールのエネルギー材料の創出につながる可能性がある。研究成果は、2019年1月29日付けの『Scientific Reports』に掲載されている。

ヒザラガイとは軟体動物の一種で、多くは背中に8枚の貝殻を持つが、中には世界最大のオオバンヒザラガイのように殻のないものもある。多くの軟体動物と同様、ヒザラガイは歯舌と呼ばれるリボン上状の基底膜に何十列も連なった歯を持つ。とがった歯冠には磁鉄鉱(マグネタイト)が沈着しており、それを使って硬い岩から藻類を削り取って食べているわけだが、その磁鉄鉱の硬度と剛性は、これまで知られているバイオミネラルの中でも最も高い。

形成初期の歯は透明で磁鉄鉱は見られないが、次第に酸化鉄が沈着し、最終的に磁鉄鉱へ変化する。ヒザラガイの歯は磨耗すると、新しい歯につぎつぎに置き換わるため、1つの個体中で段階的に磁鉄鉱が形成される様子が観察できる。

研究チームは、オオバンヒザラガイの歯のRNA分子のトランスクリプトーム解析により、遺伝子が実際にどのような物質を発現しているのかを調べた。まだミネラル化していない歯の部分には、フェリチンという鉄の蓄積と放出を行うタンパク質を含んでおり、一方ミネラル化した歯はミトコンドリアタンパク質を含んでいた。

さらにプロテオーム解析により、ミネラル化した歯冠に発現している22個のタンパク質を同定。その中には、新しく見つかったタンパク質もあり、研究チームは「RTMP1(radular teeth matrix protein1)」と名付けた。このRTMP1は、他の物質と相互作用して酸化鉄の生成を促進すると考えられる。

解析結果より、フェリチン中の鉄は、溶解した形で歯の内部に放出され移動し、酸化鉄として再び蓄積、ミトコンドリアが供給する大量のエネルギーを利用して、酸化鉄から磁鉄鉱に変換していると推論されている。

研究チームは、バイオミネラルの形成過程を調べることで、耐摩耗性のあるコーティング材料をはじめ、エネルギーアプリケーション向けのナノ材料など、常温常圧の穏やかな条件下で作製できる新しい素材の開発につながると期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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