折りたたまれた状態から展開するメカニカルデバイスを開発——アイアンマンスーツのように変形可能
2019/03/19 10:00
ブリガム・ヤング大学(BYU)の研究チームが、様々な機能を持つデバイスを構造表面内部にコンパクトに畳み込み、必要な時に外部に大きく展開させることのできるデバイスの開発に取り組んでいる。同大は、2014年に「折り紙」技術を利用して、NASAとともに宇宙船用の大型ソーラーパネルの展開方法を考案し、小さなスペースで多様な仕事をしなければならない低侵襲型医療器具や航空宇宙分野の機器など、様々な試作品を製作している。研究成果は、2019年2月13日に『Science Robotics』誌に公開されている。
NASA、BYU、折り紙芸術家Robert Lang氏が協力して開発した宇宙船用の大型ソーラーパネルは、厚さ1cm、直径2.7mに折り畳んだ状態から、約27mに展開するものだ。BYUの研究チームは、折り紙技術と発想を発展させて、構造表面下に専用スペースを必要とせずに、必要なときに外部に大きく展開できる複雑なメカニズムを作り上げることにチャレンジしてきた。
研究チームは、この紙や金属シートのような平らな形態から、3D形状に展開する技術を「展開可能な機構(developable mechanism)」と呼んでいる。作動前は、表面と一体化してコンパクトだが、必要な場合に大きく展開させることができる。平面だけでなく、映画「アイアンマン」のパワードスーツのように、必要なときに変身または変形して独特な機能を果たし、使用しない場合は元の構造表面にスムーズに畳み込むことができるものだ。
研究チームによれば、医療や宇宙、軍需産業などにおいて、より小さなスペースの中で複雑な機能を果たすことが求められることが多く、超コンパクトなメカニズムを作ることが重要になっている。そして開発したメカニズムを適用できる分野として、以下のような例を挙げている。
・医療:低侵襲外科手術の際、切断、照明、撮影機能を展開できる手術器具
・車両と航空機:機体内面から展開でき、使用しない場合は邪魔にならない部品機器
・軍用:小スペースに納まり、調整可能な翼長を持つクワッドローター・ドローン
・宇宙:惑星探査車に有効なロッククローリングのために、爪を展開できる車輪
BYU機械工学科のLarry Howell教授は、「これにより、表面と一体化しているとコンパクトだが、大きく展開して複雑な仕事ができる機械装置の製作が可能だ」と語る。
(fabcross for エンジニアより転載)