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生体適合性と柔軟性を備えたイオントランジスタ「IGT」を開発——リアルタイムに脳波を検知

コロンビア大の電気工学科と神経学科の研究者らが協力して、生体適合性のある材料だけを使って安全、小型、高性能なトランジスタを開発した。「内部イオンゲート有機電気化学トランジスタ(IGT)」と名づけたこのトランジスタは、導電性ポリマーチャネル内部の移動イオンを利用する。生体からの信号をリアルタイムに検知し処理することができ、ウェアラブル電子機器、神経刺激療法デバイスなどへ適応が期待される。研究成果は2019年2月27日付けの『Science Advances』に掲載されている。

電子システムのバックボーンを形成するトランジスタを人間の身体といった生物学的環境において効率的かつ安全に使用するには、多くの基準を満たす必要がある。従来シリコンベースのトランジスタをバイオデバイスへ適用する場合、患者の安全とデバイスの保護のためにカプセル化する必要があり、結果として堅牢でサイズが大きくなりがちだった。プラスチックベースの柔軟なデバイスの開発も進んでいるが、処理速度が遅く、脳波の処理などリアルタイム性を求めるデバイスには不向きだ。

研究チームは、高い処理能力と柔軟性を両立させるために、生体適合性のあるD-ソルビトールと導電性ポリマー(PEDOT:PSS)を組み合わせたトランジスタチャネルを開発した。糖アルコールのD-ソルビトールはチャネル内へ持続的にイオンを供給する“イオンリザーバー”として働き、イオンの移動も促進する。PEDOT:PSSは、安定性、導電性を持ち、イオンから電子への変換効率も高い。イオンがチャネル内のポリマー全体に分布することから、高い相互コンダクタンス(増幅率)が得られる。

ポリマー内のイオンの移動距離を短くすることで、同サイズのイオンデバイスと比較して、応答時間を改善。チャネル面積12×5μmで時定数2.6μsを記録した。また、5×10mmのデバイスでは100日間にわたって安定して動作することも確認した。

研究チームは臨床試験として、IGTを組み込んだデバイスを使って脳波(EEG)を測定した。接触面積は非常に小さくデバイスは毛根の間に簡単に設置でき、機械的/電気的安定性も向上。接着剤なしで頭皮に貼り付けることができるため、被験者が接着剤中の化学物質によるかゆみに悩まされることもなく快適だったという。

「IGTは脳波だけでなく、心臓、筋肉、目の動きの記録装置にも使用できる」と神経学科のJennifer Gelinas助教は語る。小型の埋め込み型デバイスとして、生体情報の長期間にわたる伝送も可能だろう。難治性てんかんの治療用機器への展開も示唆している。電気工学科のDion Khodagholy助教も「患者の治療に役立つデバイスとなる可能性は大いにある」と期待を込めている。

fabcross for エンジニアより転載)

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