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「ワインの涙」を起こすマランゴニ対流に関する新しい数学的考察

仏ボルドー大の研究者は、「マランゴニ対流(Marangoni-flow)」として知られている現象を数学的アプローチから解析したと発表した。液体と空気の界面で温度勾配によって発生する動きを、液体の深さや不純物の濃度に焦点を当てて検証している。研究結果は、2019年10月7日付けの『EPJ E』に掲載された。

液体と気体の界面には、表面張力が存在する。表面張力の局所的な変化をマランゴニ効果と呼び、マランゴニ効果が原因で発生する対流現象をマランゴニ対流という。物理実験では良く知られた現象で、身近な例では「ワインの涙」もそのひとつだ。グラスにワインなど度数の高いアルコールを注いで観察すると、ワインがグラスの内側を絶え間なく流れ落ちるように見える。これは、グラス内側にできたワインの膜からアルコールが揮発して水の表面張力が増加し、表面張力の低い部分から高い部分へワインを引き上げているためだ。そして重力に耐えられなくなったワインの膜は、涙のように下へと流れ落ちる。

マランゴニ効果は、温度の違いでも発生する。液体と気体の界面のある1点を熱した場合、この熱は放射状に外側に伝播するため、表面に温度勾配が生じて、対流の放射プロセスによって液体が移動する。不溶性の不純物が添加されている場合、不純物は液体の移動に沿って、容器の縁に向かって流される。すると、不純物濃度の違いにより表面張力にも勾配ができ、その界面は弾性的になる。

この現象は多くの実験や理論を通して十分理解されているが、未だ実験結果と完全に一致した理論は存在していない。論文の著者であるThomas Bickel氏は、液体の深さや不純物の濃度に焦点を当てた数学的な解析を行った。

Bickel氏はまずは議論を単純にするために、熱源は放射状に対称で、温度変化は十分小さい、非線形成分は無視するなどいくつかの仮定を設定した。解析の結果、いくつかの新しい特性を発見している。水深が深い場合は、表面の弾性の増加と共に、不純物が一掃される領域の大きさは小さくなる。これらの領域の外側では、マランゴニ対流は不純物起因の逆流によって相殺され、流体は静的になる。ただし、表面の弾性が大きすぎるとその領域は消えて、界面の不純物濃度は一定になる場合がある。さらに、水深が浅い場合は領域の境界が不明瞭になる、ということが判明した。

溶融体の動きに関係するマランゴニ効果は、溶接や半導体製造などさまざまな用途に応用できる。また、不純物の混入検査としても実用的な方法だ。今回の検証は、流体ベースのシステムに従事する研究者やエンジニアに向けて、新しい重要な情報を提供するものだとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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