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有機半導体の電気伝導度を歪みで制御できることを発見——オプトエレクトロニクスへの応用も

Image: Vitaly Podzorov/Rutgers University-New Brunswick

フレキシブルな有機半導体において、小さな曲げ変形を加えると電気伝導度が約2倍になることを、米国ラトガーズ大学を中心とする研究チームが見出した。シリコンやゲルマニウムなどの無機半導体にはない特徴で、微小な歪み(ひずみ)で導電性を制御できるなど、次世代オプトエレクトロニクスにおける広汎な応用が期待される。研究成果が、2019年11月13日に『Advanced Science』誌に公開されている。

有機系材料でも、ペンタセンやルブレンなどの多環芳香族炭化水素や、ポリアセチレンやポリピロールのような直鎖状ポリマーにおいて、半導体特性が発現されることが知られている。近年アモルファスシリコンよりも10倍も優れた性能を示す材料も報告されており、電子ペーパーやフレキシブルディスプレイ、RFIDタグ、人工皮膚などの多彩な用途が期待されている。

ラトガーズ大学の研究チームは、有機半導体の1つであるルブレンに注目、韓国や日本の研究者と協力して、有機半導体の特性を機械的歪みにより制御することにチャレンジした。ルブレンは、テトラセン誘導体の芳香族炭化水素であり、赤色結晶の外観をもち、ケミカルライトで橙色の感光薬として使われている。また、ルブレン単結晶は有機半導体の中で最も高いキャリア移動度をもち、有機ELや有機電界効果トランジスタなどに活用することも検討されている。

研究チームは、260nm厚さのルブレン単結晶薄膜を用いた電界効果トランジスタにおいて、ホール効果と歪みの関係を詳細に調べたところ、1%の曲げ変形により電子の移動速度を約2倍に、しかも可逆的に増大できることを突き止めた。また、ラマン分光分析により、この現象がベンゼン環二重結合状態の変化に起因していることを確認した。

同大物理天文学科のVitaly Podzorov教授は、「この現象を実際の電気回路において実現できたら、センサーや太陽電池など次世代の高機能有機エレクトロニクスに向けて、大きなブレークスルーになるだろう」と、今後の応用に期待をみせている。

fabcross for エンジニアより転載)

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