切り紙細工を応用した、折り畳み式ソフトロボットの製作を可能にする新概念「アクティブキリガミ」
2020/02/01 09:00
米ノースカロライナ州立大学(NC State)では、切り紙細工を応用した自己折り畳み式ソフトロボットの研究が行われている。
切り紙細工とは、紙を折り畳んで切り抜き、模様などを作る手芸。はさみを入れた紙を広げると、きれいな模様や形が現れる。NC Stateは切り紙細工にヒントを得て、あらかじめ切り込みを入れた板状の材料を作り、熱が加わると切り込みに沿って形状が変化するロボットを作製した。
この「アクティブキリガミ」と呼ばれる新しい概念では、熱応答性ポリマーの層を、熱に応答しない2つの層の間に挟んだサンドイッチのような構造を使用している。3つの層全てを貫通するスルーカットは材料の可動範囲を決定し、外側の層をカットして熱応答性ポリマーを露出させるエッチングは、材料の折り畳み角度や方向、また、どこまで折り畳むのかを決定する。
概念実証の一環として、研究者たちはアクティブキリガミを使ったグリッパーや自己折り畳み式ボックスなどに加え、切り紙細工のボディと空気圧で動く脚を持つソフトロボットを作製した。
研究成果は、『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)で2019年12月16日付で発表されている。論文の責任著者であるJie Yin助教授は「これは、平面の切り紙パターンが駆動力を用いずに別の立体構造に自己再構成するという、我々が知っている中で最初のケースだ。我々の研究では熱応答性ポリマーを使用したが、光応答液晶などの刺激応答性ポリマーが同じように動作しないとは考えられない。これらのプログラマブルなアクティブキリガミの応用範囲を探索できることを楽しみにしている」と述べている。
(fabcross for エンジニアより転載)