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空気中の水分を利用して電子部品を冷却する新コーティング技術を開発——哺乳類の発汗システムがヒント

中国の上海交通大学の研究チームは、水蒸気を発散して電子部品を冷却する新しいコーティング技術を開発した。哺乳類の発汗による体温調節から着想を得ていて、携帯電話などの過熱防止に利用でき、その冷却効果は従来の手法より高い。研究の詳細は、学術誌『Joule』(電子版)に2020年1月22日付で掲載されている。

これまで携帯電話の冷却システムには、ワックスや脂肪酸など相変化材料(PCM)が使われてきた。PCMは、個体から液体に変化する際にデバイスが発する熱を吸収する。しかし、固体と液体との相転移(固液相転移)時に交換できるエネルギーの総量は比較的少ない。

一方、水の液気相転移は、PCMの固液相転移と比較すると約10倍ものエネルギーを交換できる。今回、研究チームは、金属有機構造体(MOF)に着目した。MOFは空隙率が高く、空気中から水分を取り込んで熱を帯びたときに水蒸気を発散する。多量の水分を保持できるため、より多くの熱を逃がすことが可能だ。

「MOFはまだ非常に高価なので、大規模な利用には向いていない。私たちの実験では、実際にMOFを電子機器の冷却で役立てられることを示している。0.3g未満の使用で著しい冷却効果を得られた」とRuzhu Wang教授は語る。

MIL-101(Cr)と呼ばれるMOFを使って実験したところ、MOFのコーティングを厚くするにつれて冷却効果は高まった。16cm2のアルミシートを加熱する実験では、60℃に達するまでにかかった時間はMIL-101(Cr)コーティングなしで5.2分だったのに対し、コーティングありの場合、厚さ198μmで11.7分、最も厚い516μmで19.35分だった。

また、実際のデバイスでの冷却効果を実証するために、MIL-101(Cr)をコーティングしたヒートシンクをマイクロコンピュータで検証したところ、コーティングなしのヒートシンクと比べて、15分間の高負荷作業時にチップの温度を最大で7℃下げることができた。

MIL-101(Cr)は、熱源がなくなると空気中から水分を再吸収して、急速に元の状態に戻ることもできる。そのため、この方法は、携帯電話、充電バッテリー、通信基地局のような常時稼働ではないデバイスに適している。

今後、研究チームは材料の熱伝導度の改良を予定している。水分が完全になくなると、乾燥したコーティングはデバイスの放熱に悪影響を及ぼす要因になるが、研究チームは、グラフェンのような熱伝導添加材を組み込むことで、問題を解決できるかもしれないと考えている。

fabcross for エンジニアより転載)

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