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TRUST SMITH、逆合成解析AIアルゴリズム「compRet」発売——創薬などにおける化合物の合成経路設計を効率化

東大発AIベンチャーのTRUST SMITHは、化合物の合成経路を網羅的に設計する逆合成解析AIアルゴリズム「compRet」の販売を開始した。

photo 逆合成解析(Retrosynthesis)の概念図

創薬や材料化学における目的化合物の合成ルートの設計は、過去の膨大な報告例や研究者の知見などに基づいて多くの可能性の中から見出さなければならない。そのため多くの時間とコストが必要になることが課題の1つだった。

その課題を解決する方法として、有機合成化学の多段階合成において、目的とする化合物を得るための効率的な合成経路を決定する「逆合成解析」がある。逆合成解析とは、目的とする分子を単純な構造の前駆体へと繰り返し切り分けることで、各々の前駆体を入手が容易な化合物へ最終的に導く仕組みだ。従来、深層学習や強化学習、モンテカルロ木探索などを用いた逆合成解析が行われてきた。しかしそれらは、経路案を1つしか示さないために、その経路が満足できなかった場合にそれ以上の発展が見込めず、経路設計を支援する手法としては不十分だった。

photo 「compRet」が提案する様々な経路例

今回販売するのは、東京大学大学院 新領域創成科学研究科所属の渋川亮祐氏が開発したアルゴリズムを用いるもので、囲碁AIや将棋AIなどでも活用されているAND/OR木探索を逆合成解析の合成経路設計に応用している。化合物の合成経路候補を重複なく網羅的に出力することができる点が最大の特徴で、経路評価の結果、上位スコアのものを取り出すことで効率よく逆合成解析できる。さらに、逆合成経路の出力を自由に設定したり、出力される多数の経路の中から不要な経路を自動的に排除したりする機能も備える。

同社は、当該アルゴリズムにより、逆合成解析の効率性が大幅に向上することが期待されるとしている。

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