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MIT、信号強度を10倍にする2次元壁面システム「RFocus」を開発

Photo: Jason Dorfman/CSAIL

マサチューセッツ工科大学コンピューターサイエンスおよび人工知能研究所(CSAIL)の研究チームは、無線通信の平均信号強度を約10倍向上できる、3000個以上の小型アンテナで構成される2次元壁面システム「RFocus」を開発した。研究成果は、2020年2月25〜27日にアメリカで開催されたNSDI(USENIX Symposium on Networked Systems Design and Implementation)で発表された。

5G高速通信網が徐々に広がりつつあるが、本格的な普及を妨げる障壁はまだ残っている。その一つが、無線信号を伝送するより効率的な手法だ。信号強度を増幅するためには、送信機と受信機に外部アンテナを追加するのが一般的だが、5Gで普及が加速すると考えられている小型IoTデバイスには、アンテナの追加は難しい課題だ。

今回CSAILの研究チームは、送受信機ではなく、電波が伝搬する環境自体にアンテナを追加し、信号を増幅することを考えた。今回開発された「RFocus」は、3000個以上のアンテナを使用して受信機での信号強度を最大化する、ソフトウェア制御の「スマート壁面」だ。アンテナはそれぞれが信号を通過させるか反射させることができ、ソフトウェアコントローラーによって、受信機で信号強度を最大化するよう制御される。

テストでは、RFocusは平均信号強度を約10倍向上できた。アンテナは信号を処理せず、ただ信号の反射を制御すれば良いため、各アンテナのコストはわずか数セントと安価で、費用対効果も高い。

このシステムは、他の通信方式、例えばWi-Fiのレンジエクステンダーとしても利用できる可能性があるが、最も価値のある用途は、ネットワークによって管理されている工場や流通倉庫だろう。例えば、商品在庫を監視するための数百のセンサーを利用するような大規模スケールの在庫管理システムは、通常大変高価であり、しかも通信用の電力も大量に消費する。こうしたシステムは、RFocusを用いることで低電力デバイスの相互接続に置き換えるような運用が可能になるだろうとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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