Formlabs、新型コロナウイルス対策支援に取り組み——検体採取キットを3Dプリント製造
2020/04/02 08:00
世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、我々の社会生活に深刻な影響を与えている中、3DプリンターメーカーのFormlabsが、新型コロナウイルス対策支援への取り組みを積極的に行っている。
新型コロナウイルスへの対策として、高級ブランドの香水生産工場が手指用消毒ジェルを製造して公立病院に無償提供するなど、国際社会を挙げてウイルスとの闘いが行われている。
3Dプリンターメーカーも例外ではない。Formlabsは、不足する医療機器に焦点を当て、3Dプリンティング技術を生かした貢献を積極的に行っている。
アメリカ国内ではウイルス検査で検体を採取する際に必要な鼻咽頭スワブが不足しているが、Formlabsは医師らと共同でスワブを開発。同社は歯科用レジン「Surgical Guide Resin」を開発しており、これと同じオートクレーブ滅菌処理可能な生体適合性素材を用いて3Dプリンターで製作できるようにし、アメリカ食品医薬品局(FDA)クラスIの承認を既に得ている。
また、重体患者の増加により圧倒的に不足している人工呼吸器1台を、最大4人の患者で共有して使えるようにするチューブスプリッターを3Dプリントするという試みも始まっている。ラボでのテストは完了しており、チューブスプリッターの3Dプリント用ファイルと説明書は、近日中に公開される見込みだが、スプリッターの使用は最終手段とすべきであると注意を促している。人工呼吸器1台を複数の患者に使用することについてはまだ研究段階であり、ハイリスクが伴うため、複数の医学会がそのような使用方法に否定的な共同声明を出していることも留意すべきだろう。
この他に、医療用フェイスシールドのアジャスターや、フルフェイス型シュノーケルマスクを個人用保護具(PPE)の代用品として使えるようにするためのアダプターの作成にも取り組んでいるが、完成までにはもう少し時間がかかりそうだ。
Formlabsは、医療関係分野で必要な物の供給不足に対応する支援ネットワークの構築も行っている。このネットワークは、新型コロナウイルス関連のプロジェクトに従事していて3Dプリンター製部品を必要としている人々と、Formlabs製3Dプリンターを所有しており新型コロナウイルスとの闘いにボランティアで参加したい人々とをつなぐことを目的としている。このネットワークには1週間で1500人以上のボランティア参加申し込みがあったという。