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子どものおもちゃをヒントにした次世代型ソフトロボットを考案

Image courtesy of David Melancon and Benjamin Gorissen/Harvard SEAS

ポッパーというゴムでできたお椀形のおもちゃをご存じだろうか。裏返すようにしてテーブルに置くと急激に元の形に戻り始め、その時の力で勢いよくジャンプするおもちゃだ。ハーバード大学のジョン・A・ポールソン工学・応用科学部(SEAS)とワイス応用生物学エンジニアリング研究所の研究者たちは、ポッパーがジャンプする原理を使って、高速で動作する膨張式ソフトアクチュエータを考案し、2020年5月20日付『Science Robotics』誌で発表した。

ポッパーが飛び上がるのは、縦方向に圧力を加えていったとき、圧力がある限界値に達すると急に横方向に湾曲が起こるバックリング(座屈)と呼ばれる現象によるものだ。

バックリングでは大きなエネルギーが解放される。機械工学の分野では、バックリングは構造物の破壊を意味し、2010年4月20日に発生したメキシコ湾原油流出事故の原因も、地中から噴き上げた天然ガスによってドリルパイプがバックリングを起こして破壊されたためといわれている。バックリングに関するこれまでの研究の多くは、バックリングを回避する方法についてだったが、SEASは逆に不安定性を増大させて利用する研究を行った。

研究者たちは厚さの異なる2つの半球形キャップ(ポッパー)をマトリョーシカのように重ねて周縁部で接続。2つのキャップの間に空気を入れると外側の薄いキャップが膨張し、内側の厚いキャップがバックリングを起こしてジャンプする。このデバイスはシンプルに見えるが、ロボットのパフォーマンスを制御し最適化するには、おもちゃの動作に関する基礎物理を理解することが重要だったという。

論文の上席著者であるKatia Bertoldi教授は、このアクチュエータは、歩行や遊泳などができる既存のソフトロボットに結合できる構成要素であり、これを組み込むことによりソフトロボットの新たな可能性が開けるとコメントしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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