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3Dプリントで骨組織を造形するバイオインクを開発——患者に合わせた骨移植が可能に

Source: Texas A&M University College of Engineering

テキサスA&M大学の研究チームは、骨組織の3Dバイオプリンティングに使用できる新たなバイオインクを開発した。研究結果は、2020年4月8日付の『Applied Materials and Interfaces』に掲載されている。

バイオプリンティングは、細胞や成長因子など生体材料を用いて、天然組織を模倣した構造物を作るための積層造形法だ。それぞれの患者に合わせて、移植可能な3D造形物を作製できる。患者に特異的な骨移植片を設計できれば、従来の治療法と比べて時間も費用も抑えた骨の欠損や損傷に対する医療を提供できる可能性がある。

しかし、現在のバイオインクは、生体適合性や印刷性、構造安定性、生理活性を有する細胞適合性などの面で、臨床での使用には不十分だ。

今回研究チームは、Nanoengineered Ionic Covalent Entanglement(NICE)インクと呼ばれるバイオインクを開発した。ナノ加工と、イオン結合と共有結合のネットワークという2つの補強技術を組み合わせている。

細胞を含んだNICEバイオインクは、プリント後にネットワークを架橋して強力な足場を作り、細胞に優しい人体部位の環境を模倣する。バイオプリント後、細胞は軟骨基質のような細胞外マトリックスに豊富に含まれる新しいタンパク質を蓄積した。しかも興味深いことに、バイオプリントされた構造体は、骨誘導剤が含まれていないにもかかわらず、ヒト間葉系幹細胞の内軟骨分化を誘導した。研究チームは、次世代トランスクリプトームシークエンス(RNA-seq)技術を用いて、NICEバイオインクの生理活性成分であるナノケイ酸塩が、トランスクリプトームレベルで内軟骨分化を刺激することを明らかにした。

またNICEバイオインクを用いて、頭蓋顎顔面骨の欠損部を修復するための患者に特異的な足場の作製を実証した。

研究チームは今後、NICEバイオインクで作製した骨組織ついて、in vivo(生体内)における機能性を実証する予定だ。

fabcross for エンジニアより転載)

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