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従来よりも靭性を2倍に高めた固体電解質を開発——次世代型固体電池の実現へ

ブラウン大学の研究チームは、固体電解質に利用するセラミックに適量のグラフェンを添加することで、靭性を2倍に高めることに成功したと発表した。次世代のリチウムイオン電池としての固体電池の普及につながると期待される。研究結果は、2020年6月18日付けの『Matter』に掲載されている。

既存のリチウムイオン電池の多くは、液状の電解質を使用している。液体電解質はイオン伝導率が高い反面、リチウムデンドライトが成長してバッテリー内部で短絡を引き起こす場合がある。また、引火性が高く、内部ショートから火災につながる恐れもある。

そこで、液体電解質に代わる材料として、より安全でエネルギー密度の高いセラミックベースの固体電解質に注目が集まっている。固体電解質は不燃性で、デンドライトの成長を妨げることが分かっており、大電流でも使用可能と考えられている。しかし、セラミックは非常にもろいため、製造や使用の間に壊れる可能性がある。

研究チームは、酸化グラフェンの薄いプレートレットとLATPと呼ばれるセラミック粉末を混ぜ、その混合物を加熱することでセラミックグラフェン複合材料を作製した。開発した複合材料は、セラミック単体の場合と比べて2倍以上の靭性を示していた。グラフェンプレートレットがセラミック同士をつなぎ留め、破壊が進むのを抑制するためだと研究チームは説明する。

靭性を高めつつ、電池に求められる電気特性を維持するには、添加するグラフェンの量がカギだという。グラフェンが少なすぎると、靭性を高めることができず、多すぎると電解質が導電性を持ってしまう。「電解質には、電気ではなくイオンを通したい。電解質に導体であるグラフェンを入れるとは墓穴を掘るようなものだと思われるかもしれないが、その濃度を十分低く保てば、グラフェンが電気を運ぶことはなく、構造的なメリットを確保できる」と、研究チームのNitin Padture教授は語る。

「我々の知る限り、この固体電解質はこれまでで最も靭性が高いものだ。こうした複合材料をバッテリー向けに使用することには多くの利点がある」と、共同研究者のBrian Sheldon教授も研究の成果を評価する。日用品にも使用可能な機械特性を備えた、安全な固体電解質を設計するためのフレームワークとしても期待できる。研究チームは、今後も材料の改良を続け、グラフェン以外のナノ材料や、今回とは別のタイプのセラミック電解質を開発予定だとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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