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芝浦工業大学ら、化学エネルギーだけで駆動するゲルポンプの実用性を実証

芝浦工業大学はスイス連邦工科大学と共同で、化学エネルギーのみで駆動する自律型のゲルポンプを開発し、その実用性を実証したと発表した。

ゲルを構成するいくつかの物質の濃度が周期的に変化するベロウソフ・ジャボチンスキー(BZ)反応と呼ばれる振動反応を生じる高分子ゲル(BZゲル)を用いて、その自発的な振動運動を動力源にするという発想がある。これは従来のメカトロニクス機器や部品の動力源を電力から化学反応に代替することで、機器などの複雑さを解消する手段として有効だと考えられてきた。しかし、BZゲルは力学的エネルギーの変化量が小さく、さらにゲル自体を化学液中に浸す必要があったため、実用化が難しいという課題があった。

今回の研究では、まずBZゲルの膨張/収縮によって発生する力学的エネルギーを増幅させる手法を確立した。事前にBZゲルを収縮させた状態で化学液と共にカプセルに閉じ込めることでBZゲルの膨張量を最大化。同時に化学液の扱いにくさを軽減させた。BZ反応による動きが、伸縮性のある膜の変形を介して外部の油を加圧し、その油が力学的エネルギーを媒介する。今回、電子部品を使用せずに、人工心臓のように液体を前後に動かす自律型ポンプとして機能することを実証した。

今回開発したポンプは生体との親和性が高いために、自動的に薬を服用するドラッグデリバリーなどの医療分野への応用が考えられる。また、化学反応を力学的エネルギーへ変換して利用したいと考える、多くの研究分野での活用が期待できるとしている。

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