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3Dプリント製「人工リーフタイル」でサンゴを救う——香港のサンゴ群集の再生を目指すプロジェクト

香港のサンゴ群集を再生し、生物多様性を保護するためのプロジェクトとして、人工の3Dプリント「リーフタイル」を使用する手法が開発された。香港大学の建築家と海洋科学者が共同でリーフタイルを開発、設置し、サンゴ群集の発達を監視する。

香港海域の海下湾海岸公園は、香港の造礁サンゴの4分の3以上と120を超える魚種を占める、同地域の生物多様性ホットスポットだ。しかし近年、サンゴの生息地が徐々に衰退していること、生物侵食として知られるプロセス、2015〜2016年のサンゴ白化現象と大量死などによって、サンゴ群集の未来が危機に瀕しているという。これに対処するため、同公園ではサンゴを再生するためのプロジェクトが開始されている。

今回開発された人工リーフタイルは、サンゴが付着するための構造的に複雑な土台を提供することで、サンゴの再生を助け、サンゴにとっての主要な脅威の1つである堆積を防ぐものだ。テラコッタ用粘土を原料とし、ロボット3Dクレイプリンティング法でプリントされた後、1125℃で焼成する。従来のコンクリートや金属によるリーフタイルよりも環境に優しく、サンゴの典型的なパターンにインスパイアされた設計となっており、香港海域の条件にも対応している。

プロジェクトには、同公園にある3カ所のサンゴ種が選ばれた。これらのサンゴはそれぞれ異なる成長形態を持ち、他の海洋生物種に多様な生息地を提供している。2020年7月に、サンゴの破片を植え付けたリーフタイルが設置された。

研究チームは今後1年半の間、タイル上のサンゴの生育状況をモニターする予定だ。

fabcross for エンジニアより転載)

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