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「折り紙」にインスパイアされた機械的メモリースイッチを開発

CREDIT: M.F. Daqaq

アラブ首長国連邦にあるニューヨーク大学アブダビ校の研究グループは、「クレスリング折り」として知られる折り目のパターンを利用する折り紙でバイナリースイッチを作製したと発表した。作製したデバイスは機械的に動作し、スイッチとして機能することができる。研究者らは、クレスリング折りを活用して構成されるこのスイッチを複数配置した機械的メモリーボードも設計したという。研究成果は『Applied Physics Letters』に2020年8月25日付で発表されている。

クレスリング折りとは円筒形状にねじりを加えたときにみられる周期的な凹凸の斜め折りパターンのことで、折り紙の種類の中でも折り面が変形するしなやかな折り紙とされており、双方向にねじることができる蛇腹構造を構成する。この蛇腹構造は一種のばねのように動作し、クレスリング折りを施した折り紙を乗せた台を振動させることで蛇腹が閉じたり開いたりするのを制御できる。研究者らは、このようなフリップ運動を機械的スイッチとして利用することを考案して、実証した。クレスリング折りを利用したスイッチであることから、「Kresling-inspired mechanical switch(KIMS)」(クレスリングから着想を得た機械的スイッチ)と名付けられた。

研究者らは、KIMSを保持する台を一定の速度で縦に周期的に振動させると、KIMSの蛇腹構造が閉じた状態と開いた状態との間で切り替わることを発見した。そこで、動電式加振器を使い、KIMSを設置した台にあらかじめ設定した周波数と大きさの振動を加え、KIMSの上面をレーザーでモニターして、KIMSの非線形動的挙動を研究。蛇腹が開いているオン状態から閉じているオフ状態へ、またはその逆方向に遷移するスイッチング動作の根底にある物理現象を解析し、このような動作を活性化する周波数帯域幅を概算したという。

また、2つのKIMSを同一の台上に配置し、2ビットメモリーボードとしての動作も実験で検証した。1つのKIMSで蛇腹が開いているオン状態と閉じているオフ状態といった2つの状態を表せることから、2つのKIMSビットはS00、S01、S10、S11といった4つの異なる状態を構成できる。KIMSを配置した台に振動を加えることによって、これら4つの状態の間を遷移できることを実証した。

研究グループは、近年進歩しているマイクロ・ナノ加工技術や光子リソグラフィーを用いた3Dプリンティング技術を用いれば、概念実証されたKIMSのようなスイッチを小型化することは可能だと述べており、スケーラブルな圧電アクチュエータやグラフェンアクチュエータを利用してメモリーボードを作動させることを提案している。小型化された折り紙スイッチを利用したメモリーボードの実現は、将来のデバイス開発に大きな一石を投じ、広く応用できると期待される。

fabcross for エンジニアより転載)

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