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解錠音だけでカギを複製する技術「SpiKey」を開発

シンガポール国立大学の研究チームは、スマートフォンと3Dプリンターを使ってカギを複製する技術を開発した。ピンタンブラー錠にカギを挿し込む音を録音し、それを解析することでカギ山の形状を特定するもので、研究結果は、2020年3月にアメリカで開催された「HotMobile 2020」で発表された。

ピンタンブラー錠の構造はシンプルだ。シリンダー内部には5、6本のピンが並んでおり、カギを挿し込むとピンがカギ山に沿って押し上げられる。ピンの高さが全て正しい位置に揃った時だけカギと共にシリンダーの内筒が回り、解錠/施錠する仕組みだ。

玄関ドアなどに使用されているピンタンブラー錠は構造がシンプルなため、ピッキングによる被害も受けやすい。それでも広く使用されているのは、ピッキングが特別な訓練と専用工具を必要とし、その動作が人目を引くこと、1度成功しても2回目以降はまたピッキングが必要になるからだ。しかし、研究チームが開発した手法「SpiKey」は、スマートフォンのマイクを使って解錠/施錠時の音声データを取得するだけで、カギの形状が分かるというものだ。ピッキングの場合、専用工具でピンが傷つき跡も残る。しかし、SpiKeyの場合、解析結果から3Dプリンターで合いカギを作れば、跡を残さずに何度でもドアを開けられる。

SpiKeyは、カギを挿した時にピンがカギ山を越える所でカチッと鳴るクリック音を利用する。カギ山の間隔の違いはクリック音のタイミングの違いとなって現れる。信号処理して不要なノイズを除去した後、クリック音の間隔からカギ山の間隔を推測し、そこからカギ山の稜線の角度などを利用してカギの谷の深さを推測して、カギの形状を絞り込む。実験では、6ピンタンブラー錠の実際の音声データを利用して、33万以上の形状の中から3つまで候補を絞り込むことができたという。

セキュリティにとって脅威となる結果だが、研究チームは、侵入者が錠前の外観からカギのタイプが分かっていること、ターゲットがカギを一定の速度で挿し込んでいることを前提にしているため、直ちに注意が必要というわけではないようだ。ただし、ドア付近に盗聴器を設置するなど、カギの音が収集される可能性はあるとも指摘している。

fabcross for エンジニアより転載)

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