【CEATEC 2020】欲しいデータを自動設定で取得——自立給電無線センサーと学習型コンセントレータで実現するデータ収集システム
2020/11/11 10:40
2020年10月20日から10月23日までオンライン開催された「CEATEC 2020 ONLINE」では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進する様々な研究開発が、「企業エリア」からアクセスできる。ここでは、その中から「機器に貼るだけ!自立給電無線センサで楽々IoT!」を紹介する。
このプロジェクトは、技術研究組合NMEMS技術研究機構によるもので、ユーザーの現場技術者だけで無線センサー端末の設置、設定ができ、IoTによるデータ収集システムが構築できるというものだ。
無給電でセンシングと双方向通信を可能とするため、手のひらサイズ程度の無線センサー端末に環境発電モジュールを組み合わせている。無線センサー端末には、赤外線アレイやマルチガスセンサーなど各種センサーが接続できるインターフェースを備えている。環境発電としては、工場現場に多い回転機器の微小振動でも、500μWを発電できる新開発振動発電デバイスを使い、加えて市販のソーラー発電あるいは熱発電デバイスを組み合わせたハイブリッド発電に対応している。
特に、エッジ処理だけで自動的に有価情報を抽出するため、測定目的に最適な有価情報の抽出方法を自動で調整するアルゴリズムテンプレート、抽出方法に基づいてセンサー端末の測定パラメータを自動で探索し、その変更を無線で指示する機能を、学習型コンセントレータに実装しているという。
こうしたシステム構成により、測定対象の装置や、アプリケーションに対して適切な分析方法を自動解析し、センサー端末の測定パラメータに自動反映するセンシングシステムを実現している。専門技術者による、センサー設置時の個別調整や個別のアルゴリズム開発が不要となり、現場技術者だけでIoTシステムを短期間で構築できるのがメリットだ。
そして、具体的な応用例として赤外線アレイセンサ(16×16、256画素)端末と学習型コンセントレータによる、産業設備の温度変化を監視するシステムを紹介している。この構成では、学習型コンセントレータが自動で高温領域を検出し、その領域の画素ごとに温度データを収集。温度が高い画素ほど濃い赤で表示し、どの設備のどの部分が高温になっているかを可視化することで、設備の平常時の特徴や状態変化の検出に役立てることができる。