反射した紫外線を使うサステナブルな太陽電池パネル「AuREUS」——直射日光不要
2021/01/30 07:30
果物や野菜の廃棄物を利用した太陽電池が、「James Dyson Award 2020」のサステナビリティ賞を受賞した。James Dyson Awardは、Dysonの創業者が最終審査員を務める国際エンジニアリングアワード。次世代のデザインエンジニアを称え、育成、支援することを目的として、James Dyson財団が運営している。今年新設されたサステナビリティ賞を受賞した太陽電池はフィリピンからの応募で、太陽光が反射、散乱した紫外線を吸収し、太陽光が直接当たらなくても発電することができる。
「AuREUS」と名付けられたデバイスは、高エネルギー粒子が発光粒子に吸収され、可視光として再放出される、オーロラを司る現象から派生したテクノロジーを利用している。
AuREUSは、果物や野菜に由来する発光粒子を樹脂製の基板に懸濁している。公開された動画で使われているのはトマトから採った染料に由来するものだ。これに紫外線が当たると、粒子は紫外線を吸収し、内部反射によって縁に沿って可視光を放出する。
AuREUSにはパネル状の「Astralis Solar Wall」と窓ガラス状の「Borealis Solar Window」がある。Astralis Solar Wallは反射あるいは散乱した紫外線を受けて発電する太陽電池パネル。曇りや、太陽に背を向けた状態でも壁や地面からの反射を受けて発電でき、スマートフォンの充電もできる。Borealis Solar Windowは、紫外線を吸収する窓。紫外線は通過せず、窓枠に取り付けた太陽電池セルで発電が可能だ。
この技術を応用すれば、AuREUSは太陽に面していなくても発電が可能なので、ソーラーファームの垂直方向への展開などが可能になる。また、都市部でガラスの建物によって引き起こされる過剰な紫外線暴露を防止し、同時に発電することも考えられる。
さらに、農作物は腐敗しやすく、農民に損失をもたらすが、この技術により作物廃棄物のアップサイクル(創造的再利用)も可能だろう。現在78種類の地元の作物がテストされており、9種類が高い可能性を示しているという。
(fabcross for エンジニアより転載)