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綿あめ製造機でN95マスクと同等の帯電フィルター層を作る

沖縄科学技術大学院大学(OIST)のMahesh Bandi准教授は、綿菓子機を用いてN95マスクに採用されている帯電ポリマー層を作製する研究を進め、その製造プロセスについての解説を発表した。研究結果は、2020年11月25日付で『Proceedings of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences(英国王立協会紀要)』に掲載された。なお、このマスクのデザインは、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)などの関連機関によるテストや認定は受けておらず、OISTウェブサイト上で公開されている情報は、現状のまま無保証で提供されるものとしている。

帯電性を持つポリマー材料は、エレクトロスピニング(電界紡糸)法と呼ばれる方法で製造される。研究者らは、プロ用の大型綿菓子機を改造して、電界紡糸法による帯電ポリマー作製を試みた。通常は白ざらめを投入する中心部の小型円筒状容器(エミッター)とドラム缶のような容器(コレクター)との間に12~24ボルトの電圧をかけ、エミッターに粉末状のポリプロピレンポリマーを投入した。毎分数千回の速度でエミッターを高速回転させると、電界紡糸されたポリマーが生成され、コレクター内部の表面に帯電したナノファイバーが付着し、繊維を収集することに成功した。原料として使う粉末状のポリプロピレンポリマーはポリプロピレンプラスチックから作製できるが、衛生面の観点から、まずプラスチックを圧力鍋に入れて20分程度、強い蒸気にさらす処理をしてから、フードプロセッサーに入れて粉砕し粉末状にするよう研究者らは勧めている。

作製した繊維サンプルを走査型電子顕微鏡で観察したところ、N95マスクの帯電層サンプルと構造的な違いはなかったという。また、50nmの蛍光コロイド粒子を、綿菓子機で作製した厚さ500μmの帯電ポリマー材料に向けて、人間の通常の呼吸速度と呼吸が速くなった場合の速度で気流中に射出したところ、帯電ポリマーは蛍光コロイド粒子を捕捉したことが確認された。

研究者らは、電界紡糸法でコレクター内部の表面に生成されたポリマー材料を、消毒したはさみで切断して取り出し長方形のシートに成形。厚さ10mmの消毒済みガラスプレート2枚に挟んでプレスし、マスク用の生地にした。同様に、改造した綿菓子機で帯電性のないポリマーも生成して生地を作り、3層に重ねた帯電ポリマー生地を帯電性のないポリマー生地2枚で挟んで縫い合わせる形で、実際に5層マスクを作成したようだ。

fabcross for エンジニアより転載)

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