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電気回路が苦手な生徒向けに新しい指導方法を提案

スマートフォンやヘアドライヤー、照明など、我々がよく使う機器はすべて電気を必要としている。電気のない生活は、今や考えられないものになっている。

独テュービンゲン大学と独ゲーテ大学の研究者らは、セカンダリースクール(中等教育)における電気回路のカリキュラムをより良いものにするために、新しい指導方法を発表した。生徒が理解しやすいだけでなく、教師も教えやすいと実感するという。2020年12月4日付けの『Physical Review Physics Education Research』に「Teaching electric circuits with a focus on potential differences(電位差に着目した電気回路指導法)」として掲載されている。

論文によれば、従来の指導方法の場合、生徒らは電圧を独立した物理量ではなく電流の一特性とみなすため、電気回路を電流と抵抗だけで考える傾向にあるという。その結果、電気回路や電流と電圧の関係が分かりにくくなるようだ。

そのためか、10年生(日本の高校生程度)になっても、「電流と電圧の違いは?」「なぜ壁コンセントは感電する可能性があるのに、乾電池は平気なの?」「なぜ電源タップに照明を何個挿しても個々の明るさは変わらないの?」といった問題に答えられない生徒が多いという。

そこで、研究チームは、生徒が日常生活をもとに電気回路について理解できるようなカリキュラムを提案している。導入として、空気に圧力差があると流れが発生するのと同じように、電圧は「電気圧力差」として紹介され、それが電流を生み出すと説明している。誰でも一度は風船から空気が抜けるのを目にしたことはあるだろう。日々の経験を例に取ることで、生徒は単純な直流回路に対する定性的な理解が深まるとしている。

実際、セカンダリースクールに在学する790人の生徒を対象とした調査では、従来のカリキュラムを受けた生徒よりも、新しいカリキュラムを受けた生徒の方が、その後の確認テストで高得点を上げていた。比較実験に参加した教師たちも、新しいカリキュラムに従うことで、指導方法を根本的に改善できたと述べている。

fabcross for エンジニアより転載)

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