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Formlabs、SLS方式3Dプリンター「Fuse 1」の日本での販売を開始

Formlabsは、SLS(Selective Laser Sintering:粉末焼結積層造形)方式3Dプリンター「Fuse 1」の日本での販売を2021年6月1日に開始した。価格は284万3500円(税込)から。

「Fuse 1」は、主に産業用途で導入費用も大型機種であれば1000〜2000万円と高額なSLS方式3Dプリンターの小型化と低価格化を実現。SLS方式による造形の利点として、光造形方式で使用するレジンと比較して材料が安価で再利用が可能であることや、形状やデザインの制約が少ないこと、最終製品に使用できる耐久性や機能性などが挙げられる。

photo 記者発表会で配布された造形サンプル。蝶番や留め具も一体となって一度に造型されている。ナットは造形後にはめこまれたもの。
photo Fuse 1を造形したサンプル。サイズは40×40×70mmで36個を一括で造形した際の所要時間は約62時間、造形後の冷却時間に約13時間を要したという。

造形エリアは165×165×300mm(幅×奥行き×高さ)で、最大造形サイズは159×159×295mm。外形サイズと重さは645×685×1070mmで114kg。インターフェースはイーサネットとWi-Fiで、光源のレーザーユニットは波長1064nm、スポット径200μmで積層ピッチは110μm。専用ソフトウェアを搭載し、.STL/.OBJファイルに対応する。

photo 造形物が収納される「Fuse 1 Build Chamber」は繰り返し利用可能。価格は58万5200円(税込)

FormlabsではFuse 1とあわせて、造形用パウダー素材の「Nylon 12 Powder」(3kg×2個で7万8100円)と「Nylon 11 Powder」(3kg×2個で9万200円)、後工程用装置「Fuse Sift」(150万5900円、価格は全て税込)の同時販売も発表している。

Nylon 12 Powderは強度と微細さを兼備し、機能的な試作品から恒久的に使用される治具や固定具への使用を想定している。一方、Nylon 11 Powderは高い延性と堅牢性が特徴で、曲げる必要があり、衝撃に強いパーツを造形するのに最適としている。造形後の材料をリサイクルする割合(リフレッシュレート)はNylon12 Powderが30%、Nylon11 Powderは50%をFormlabsでは推奨している。混合比率はタッチパネルから調整できる。 なお、Nylon 12 PowderとNylon 11 Powderを混合しての使用はできず、材料を切り替える際には内部に溜まった材料を清掃してから使用することを推奨している。

Fuse SiftはFuse 1で造形後、冷却が済んだチャンバーを移し替えて使用する。主に造形物の取り出しからパウダーの回収、保管、使用前のパウダーとの混合までをカバーする。

photo
photo Fuse Siftの全体(上)と作業エリア(下)。造形物が自動的にチャンバーから作業エリア左側に排出され、吸引機や作業エリア前面と下部にあるフィルターを通じてパウダーを除去。使用済みのパウダーはSiftの下部にある箱に集められ、未使用のパウダーとの混合・ミックスは本体右側に備え付けられた回転する機構を使用する。
photo 本体内部に搭載されたカメラによる映像が前面のタッチスクリーンに表示され、造形の様子をリアルタイムで確認できる。

Formlabsは2012年に同社最初の3Dプリンター「Form 1」を発表。産業グレードの光造形方式3Dプリンターを低価格で提供したことで急成長を果たす。その後、「Form 2」、「Form 3」、「Form 3L」と後継機種を発表し、2017年に「Fuse 1」を公開。公開から発売開始までに約4年をかけた理由として、Formlabsは「造形時の熱処理などの対策や、競合する製品よりもより簡易なワークフローの実現に時間を要した」と説明している。

Fuse 1は、これまでFormlabsが手掛けてきた光造形方式の製品群よりも高額であることや粉塵などの問題から、製造業企業や3Dプリントサービスを手掛ける事業者など、より産業向けの現場での利用が推測される。Formlabsでは、日本の事業者向けに防塵対策などのソリューションをパッケージとして提供することも検討中だとしている。

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